第十二章『決戦と集成の未来歌』【製本版プレゼントキャンペーンのお知らせ】
現在、第十一章まで進行してきましたWINGS。 そして、次の章は"特別編"と銘打って、なんと、製本版として先着10名様に無料プレゼントいたします!!
キャンペーンへの応募方法は以下の通り!
①TwitterのWINGS公式アカウント(@akiuchi_0joker)をフォロー
②ダイレクトメールより、「十二章プレゼントキャンペーンに応募します!」とメッセージをお送り下さい
③DM内にて配送方法のご相談をさせて頂いた後、応募完了!
(※応募には、ヤマト運輸様の『スマホで宅急便を送る』サービスを利用します。 LINEのアカウント情報、あるいはお近くのヤマト配送センターの情報をご提示頂く場合がございますので、予めご了承下さい)
【あらすじ】
ついに、ミラアイの全国大会会場へと足を踏み入れたWINGS。 そこでは、コバルト流星群(スターズ)をはじめとした、全国選りすぐりのアイドルユニット達が顔を揃えていた。 そしてそこには、WINGS最大のライバルである、ガイアの姿も……!
果たして、WINGSはミラアイで優勝することが出来るのか……!?
【プロローグ無料公開中!!】
プロローグ
「ついに来たんだな……」
澄んだ空の下に聳える巨大な銀色のドームを目の前にして、秋内 翔登は思わずそう呟いていた。
彼が通う聖歌学園高校の敷地は、ソフト部が練習試合に使用できるほど広いグラウンドと緑の豊かな中庭があり、面積もそこそこに広い。しかし、それに比べてもこのドームは……いや、比べ物にならないぐらい広く、そして大きい。真ん丸の屋根が、ちっぽけな彼らを威圧するようにギラギラと輝いている。そして、そのドームの入り口前広場では、翔登を含めた八人のちっぽけな集団が、ゾロゾロと行き交う人々の群れの中でポツンと突っ立っていた。
「すっごい……こんなおっきな会場でやるんだね……。 な、なんか既に圧倒されそう……」
「そんな弱気じゃ駄目よ。 ……と言いたいところだけど、つぐみさんの気持ちも分かるわね。 こんな大きなドーム、生で見るのは初めてだし……」
「お、おいおい! 稲垣までそんな事言わないでくれって! なんか俺まで緊張するじゃんかよぉ~……!」
「あ、あの……江助さんは別にステージに立つ訳じゃありませんよね……?」
翔登のすぐ横で、つぐみ、詩葉、江助、絵美里の四人が顔を強張らせながら話している。江助はともかく、三人とも今日のステージの緊張をひしひしと感じている様子だ。冬場だというのに、彼女たちの額からはじんわりと小さな汗の粒が滲み出ているのが見えた。井の中の蛙が大海を目の前にした時って、こんな感じなんだろうな……なんて下らない事を考えながら、翔登は四人の方から視線を隣へと移した。
「うわぁ~、県立会館よりもフォルテッシモだねぇ~。 ピアノのコンサートには、ちょっと広すぎるかもしれないけど」
「あぁ、音色はよくピアノの発表会とかでこういうデカい会場に来るから見慣れてるんだっけ。 んで、舞にいたってはもう既に一回か二回来たことあるんだよね、ここに?」
「うむ、夏燐氏の言う通り。 私は中学の時に、一度華ちゃんと一緒にミラアイの決勝に出てる。 だから、もう故郷みたいなもの」
音色、夏燐、舞の三人は、さっきの四人とは対象的に、どこか心に余裕があるような感じだった。この三人は元々、あんまり物怖じするようなタイプではないし、当然かもしれない。ただ、観客気分で能天気な夏燐とは違い、音色と舞の二人は、ちゃんとステージへのピリッとした緊張感を持っているように見えた。これなら安心だ……翔登は、心の片隅でこっそりとそんな事を思っていた。
つぐみ達のように緊張していた心を、音色たちの余裕ある発言に癒して貰いつつ、翔登はドームの入り口にでかでかと掲げられている幕へ目をやった。
ミライアイドルコンテスト。
通称、『ミラアイ』。
全国から、アイドルを目指す中高生のアマチュアグループ達が集い、その頂点を決めるという、由緒あるアイドルの大会。今日、その決勝がこのドームで行われるのだ。翔登たちは……いや、正確には、つぐみ、詩葉、音色、舞、絵美里の五人で構成されるアイドルグループ『WINGS』は、予選を勝ち抜き、見事このミラアイの決勝へと駒を進めた。そして今日、彼女たちは、優勝の座をかけて大勢の観客を前にしたステージでパフォーマンスを披露するのである。彼女たちにとってはまさに、ここがアイドル活動をやってきた二年間の集大成の場なのだ。
会場の至る所が、ミラアイのロゴが描かれた旗や看板で埋め尽くされていた。また広場には、開場を今か今かと待ち構えるファン達が大勢詰めかけている。いや、ファンだけじゃない。ミラアイは言わずと知れた由緒ある大会である。そのこともあって、辺りには一般の観客も大勢いた。まさに、人気アイドルのコンサートばりだな……と、翔登はまたしても人の多さに圧倒されながら、密かに長い息を吐いた。
「いよいよ今日……決まるんだね!」
「今日の為に、今まで沢山練習も重ねてきましたもんね……!」
「曲も、歌も、振付も完璧。 ……今の私たちなら、ちゃんとベストを尽くせる」
「緊張もするけど……でも、ちゃんと楽しんでステージに立てると良いなぁ~」
「……そうね。 私たちの全力を出しつつ、この大舞台をしっかり楽しみましょう」
緊張と圧倒によってすくんでいた心が、皆の声によって再び奮い立たせられる。程好い緊張感はありつつも、皆の顔にはちゃんと笑顔があった。皆のことを見回してから、翔登はそっと右手の甲を前へと突き出す。それを見て、つぐみをはじめとした残りの七人が、順々にその手を翔登の手の上に重ねていった。
「良いか? ミラアイへの出場っていう目標は達成できたけど、まだ終わりじゃない。 今日は俺たちアイドル研究部の……『WINGS』の力を見せつける時だ。 どんな結果になろうと関係ない。 皆がこれまで積み上げてきた努力の成果を発揮できれば、それで良い。 ……後は、最後まで楽しむだけだ」
コクリ、と全員が示し合わせたかのように同じタイミングで頷く。円陣の中心にある八つの手の甲が、ドームからの光に照らされて白く輝いていた。
「それじゃあ、いくぞ! ……WINGS!」
「「「「「「「「フラーイ! ハーイ! スカーイッ!!!」」」」」」」」
翔登たちの声は、高らかに掲げられた手と共に空へと羽ばたいていった。WINGSの、最後の戦いが始まる。彼女たちが追い求めてきた夢への架け橋が、今開かれるのだ。青空に舞う白い鳥の羽が、穏やかな風に誘われて宙を揺蕩っていた。
★この続きは是非、製本版でご確認下さいませ……!)
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【あらすじ】
ついに、ミラアイの全国大会会場へと足を踏み入れたWINGS。 そこでは、コバルト流星群(スターズ)をはじめとした、全国選りすぐりのアイドルユニット達が顔を揃えていた。 そしてそこには、WINGS最大のライバルである、ガイアの姿も……!
果たして、WINGSはミラアイで優勝することが出来るのか……!?
【プロローグ無料公開中!!】
プロローグ
「ついに来たんだな……」
澄んだ空の下に聳える巨大な銀色のドームを目の前にして、秋内 翔登は思わずそう呟いていた。
彼が通う聖歌学園高校の敷地は、ソフト部が練習試合に使用できるほど広いグラウンドと緑の豊かな中庭があり、面積もそこそこに広い。しかし、それに比べてもこのドームは……いや、比べ物にならないぐらい広く、そして大きい。真ん丸の屋根が、ちっぽけな彼らを威圧するようにギラギラと輝いている。そして、そのドームの入り口前広場では、翔登を含めた八人のちっぽけな集団が、ゾロゾロと行き交う人々の群れの中でポツンと突っ立っていた。
「すっごい……こんなおっきな会場でやるんだね……。 な、なんか既に圧倒されそう……」
「そんな弱気じゃ駄目よ。 ……と言いたいところだけど、つぐみさんの気持ちも分かるわね。 こんな大きなドーム、生で見るのは初めてだし……」
「お、おいおい! 稲垣までそんな事言わないでくれって! なんか俺まで緊張するじゃんかよぉ~……!」
「あ、あの……江助さんは別にステージに立つ訳じゃありませんよね……?」
翔登のすぐ横で、つぐみ、詩葉、江助、絵美里の四人が顔を強張らせながら話している。江助はともかく、三人とも今日のステージの緊張をひしひしと感じている様子だ。冬場だというのに、彼女たちの額からはじんわりと小さな汗の粒が滲み出ているのが見えた。井の中の蛙が大海を目の前にした時って、こんな感じなんだろうな……なんて下らない事を考えながら、翔登は四人の方から視線を隣へと移した。
「うわぁ~、県立会館よりもフォルテッシモだねぇ~。 ピアノのコンサートには、ちょっと広すぎるかもしれないけど」
「あぁ、音色はよくピアノの発表会とかでこういうデカい会場に来るから見慣れてるんだっけ。 んで、舞にいたってはもう既に一回か二回来たことあるんだよね、ここに?」
「うむ、夏燐氏の言う通り。 私は中学の時に、一度華ちゃんと一緒にミラアイの決勝に出てる。 だから、もう故郷みたいなもの」
音色、夏燐、舞の三人は、さっきの四人とは対象的に、どこか心に余裕があるような感じだった。この三人は元々、あんまり物怖じするようなタイプではないし、当然かもしれない。ただ、観客気分で能天気な夏燐とは違い、音色と舞の二人は、ちゃんとステージへのピリッとした緊張感を持っているように見えた。これなら安心だ……翔登は、心の片隅でこっそりとそんな事を思っていた。
つぐみ達のように緊張していた心を、音色たちの余裕ある発言に癒して貰いつつ、翔登はドームの入り口にでかでかと掲げられている幕へ目をやった。
ミライアイドルコンテスト。
通称、『ミラアイ』。
全国から、アイドルを目指す中高生のアマチュアグループ達が集い、その頂点を決めるという、由緒あるアイドルの大会。今日、その決勝がこのドームで行われるのだ。翔登たちは……いや、正確には、つぐみ、詩葉、音色、舞、絵美里の五人で構成されるアイドルグループ『WINGS』は、予選を勝ち抜き、見事このミラアイの決勝へと駒を進めた。そして今日、彼女たちは、優勝の座をかけて大勢の観客を前にしたステージでパフォーマンスを披露するのである。彼女たちにとってはまさに、ここがアイドル活動をやってきた二年間の集大成の場なのだ。
会場の至る所が、ミラアイのロゴが描かれた旗や看板で埋め尽くされていた。また広場には、開場を今か今かと待ち構えるファン達が大勢詰めかけている。いや、ファンだけじゃない。ミラアイは言わずと知れた由緒ある大会である。そのこともあって、辺りには一般の観客も大勢いた。まさに、人気アイドルのコンサートばりだな……と、翔登はまたしても人の多さに圧倒されながら、密かに長い息を吐いた。
「いよいよ今日……決まるんだね!」
「今日の為に、今まで沢山練習も重ねてきましたもんね……!」
「曲も、歌も、振付も完璧。 ……今の私たちなら、ちゃんとベストを尽くせる」
「緊張もするけど……でも、ちゃんと楽しんでステージに立てると良いなぁ~」
「……そうね。 私たちの全力を出しつつ、この大舞台をしっかり楽しみましょう」
緊張と圧倒によってすくんでいた心が、皆の声によって再び奮い立たせられる。程好い緊張感はありつつも、皆の顔にはちゃんと笑顔があった。皆のことを見回してから、翔登はそっと右手の甲を前へと突き出す。それを見て、つぐみをはじめとした残りの七人が、順々にその手を翔登の手の上に重ねていった。
「良いか? ミラアイへの出場っていう目標は達成できたけど、まだ終わりじゃない。 今日は俺たちアイドル研究部の……『WINGS』の力を見せつける時だ。 どんな結果になろうと関係ない。 皆がこれまで積み上げてきた努力の成果を発揮できれば、それで良い。 ……後は、最後まで楽しむだけだ」
コクリ、と全員が示し合わせたかのように同じタイミングで頷く。円陣の中心にある八つの手の甲が、ドームからの光に照らされて白く輝いていた。
「それじゃあ、いくぞ! ……WINGS!」
「「「「「「「「フラーイ! ハーイ! スカーイッ!!!」」」」」」」」
翔登たちの声は、高らかに掲げられた手と共に空へと羽ばたいていった。WINGSの、最後の戦いが始まる。彼女たちが追い求めてきた夢への架け橋が、今開かれるのだ。青空に舞う白い鳥の羽が、穏やかな風に誘われて宙を揺蕩っていた。
★この続きは是非、製本版でご確認下さいませ……!)
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