魔法使いの旅 ”村を散策”
「ふぁ~ぁ。よく寝た。」
彼女はこの村で過ごす18歳の魔法使い。
王都の魔法学園を卒業した後は、この村で薬を作り生計を立てている。 もともと、お金には無頓着で贅沢をするというよりは、その日を気ままに生きられればよいという性格だ。
緑豊かなこの村には清流が流れ、きれいな水は料理をより美味しくさせる。この村の産業を支えているのもこの水のおかげだ。
この川を中心に、小麦畑が広がっており、村を支える重要な産業となっている。風に揺れる小麦畑の中を歩くと、麦の香りが鼻に抜ける。
小麦畑が中心産業の村には、新鮮で美味しいパン屋が並んでいる。村を歩くと、どこからともなく焼きたての香りが漂ってきて、食欲を刺激するのだった。
「今日はどんなパンを買おうかな」
毎朝、焼き立てのパンを食べる。それだけで彼女は満足だった。
もう一つ村を支える産業がある。 それは養豚だ。村では食用以外にもペットとして豚を飼っているものも少なくない。
村には放し飼いになった豚も多い。 自由に生きる豚はストレスも少なく、赤身が濃く、かつ甘味のある脂がのった豚に育つのだ。
日課のキノコを採取するのに、彼女は森へ出かけた。
「え~っと。あったあった。」
彼女は、小さな布の袋にキノコを収め、大切にポケットにしまった。そのキノコは、彼女が知る限り、珍しく、薬にするのに役立つものだった。
今日の採取ノルマを終え、薬を作るために彼女は帰路へとついた。
錬金釜の前に佇む彼女は、今日の収穫を手早く準備し始めた。
キノコを一つ一つ手に取り、その独特な香りと質感を確認しながら、彼女は丁寧に調合を進めた。
「わわっ!火が強すぎたかも!」
「先生、いつも通りです。」
いつもと同じように薬を作り、村で売り、そのお金で食事や必要な物を買い揃える、最低限だが、充実した毎日を送るのだった。
ー おまけ ー