黒髪を流した少年、イサミ·ユーディラドは騎士学校を卒業し金髪に青い目の整った少年の義兄弟のケイネスと共に正式な騎士になるべく王城に向かっていた。
「よし、これでやっと勇者になれるぜ!」
イサミはガッツポーズを立てて叫んだ。
「勇者じゃないだろ!騎士だろ、なに言ってんだ」
ケイネスは呆れてしまう。
「騎士にまでなれるてことは勇者てことだよな?つまりたくさんの女の子、いや、もしかしてお姫様にもモテるかもしれないんだぜ?」
イサミはそんなもの気にせずニコニコと頷く。
「勇者は考えすぎだろ。というか本当にそんな不純な理由で騎士になる気かい?」
ケイネスはまったくもっていかがわしいと彼を怪訝な目で見た。
「なってやるよ。ついでに世界も救ってやる」
「救うもなにもそれほどの危機はないんだけど?」
イサミがクールに決めるとケイネスは首を傾げた。
「あー、世界はともかく城の危機は今すぐ救いたいかな?」
イサミは城の方に近づく怪しい軍団を示す。
それはワイバーンの群れであり上に頭が牛の屈強な茶色い肌のいわゆるミノタウロスが乗っていた。
ケイネスは魔力を目に集中することでそれを確認、息を飲んだ。
「そういうことか。急ごう!」
「ああ、俺が勇者になるためにな!」
ケイネスの呼びかけにイサミは力強く宣言する。