フランデンはハーデルト王国から主の居城に帰還する。
「ご苦労さま、今日もいい獲物いたかしら」
魔王パンドラドが彼に声をかける。
彼女は三つ編みを後ろに下げ黒い華やかなドレスを纏っていた。白髪に青い目を携えている。その顔は少女ではないが大人とは言えない若々しい風貌をしていた。
「ああ、今日のは勇者を名乗っていたぞ。いずれはいい強者になるであろう」
フランデンはガハハと歯を開けて笑った。
パンドラドは悪い癖だと感じた。彼のこのような発言は何度聞いただろうかと。
★★★★★★★
翌朝になりイサミは目を覚ましアステリア王女と目が合う。
イサミはアステリア王女の顔が天女のように見えこれが夢なのかと思えてしまう。
「現実か」
だが夢が醒めることはなくそう呟く。
「夢じゃありませんよ。わたしも、男の人と一緒に起きるなんて初めてです」
アステリア王女がくすりと微笑む。
「意味深だな」
誤解しそうになりイサミは呟く。
その日からイサミとケイネスの特訓が始まる。イサミとアステリア王女の結婚までまだ日にちがある。なにもしないわけにはいかないとイサミが講師をつけて欲しいと王に言ったのだ。