雑司ヶ谷高校 執筆部
名古屋・栄で一泊
 名古屋で宿泊するというホテルに、名古屋地下鉄の東山線を使って栄という駅に到着した。地上に出ると、辺りは繁華街。飲み屋などが多いところのようだが、まだ夕方なので、酔っ払いなどの姿は見えない。  伊達先輩の提案で、名古屋名物は明日食べることにして、コンビニで食料などを調達して、部屋でゆっくりしようということになった。  確かに、朝早くから沢山移動もしたし、歩いたし、疲れていたので、その提案に乗った。  コンビニで弁当やドリンクを調達する。  伊達先輩がホテルの受け付けで、チェックインする。  そして、僕は伊達先輩からカードキーを受け取る。  上杉先輩はニヤニヤしながら言う。   「部屋は男女別だからね」 「当然でしょう」 「一緒の部屋だと思ったんじゃない?」 「別に、期待してませんでした」    僕ら三人はエレベーターに乗るためにロビーを移動する。途中、伊達先輩が話しかけて来た。 「荷物置いたら、私たちの部屋に来て。一緒に晩御飯を食べましょう。明日の予定とかの話も少ししたいし」 「わかりました」  女子二人の部屋番号を聞いたら、部屋は4階上ということだった。僕はシングルルーム、先輩二人はツインルームだろうから、階が違って当然か。  僕は、エレベーターで先に降りて部屋に向かう。目的の部屋番号のドアにカードキーをかざしてカギを開けた。  部屋の広さは、こんなもんだろうか? ホテルとか、ほとんど泊まったことが無いので比較のしようがなかった。今後、100名城めぐりで、いろんなホテルに泊まる機会も増えるのだろう。    荷物を置くと、さっきコンビニで買った弁当と飲み物のお茶を持って、先輩二人の部屋に向かう。    再びエレベーターに乗り4階上へ。目的の部屋に付いたら呼び鈴を鳴らして、ドアを開けてもらった。    「来たね」  先輩二人は弁当を  椅子は2つしかなかったので、1つを僕に譲ってくれた。部屋に常備の丸テーブルを少し移動して、上杉先輩がベッドを椅子代わりする。  僕らは丸テーブルを囲んで弁当を食べ始めた。途中、世間話をする。 「武田君の親は、旅行に行くことに何か言ってた?」  伊達先輩が僕に尋ねて来た。 「いえ、うちは放任主義なので。それに旅費は部費が出してくれたので、特になにも言われませんでした。ただ、妹に『お兄ちゃんだけ旅行に行けてズルい』と言われました」 「妹、いるんだ?」  上杉先輩が驚いたように尋ねて来た。そんなに意外かなあ? 「はい。まだ中2ですけど。先輩二人はきょうだいは、いないんですか?」 「私は姉が居るわ」と、伊達先輩。 「アタシは一人っ子」と、上杉先輩。  そうなんだ。あんまりピンとこない。  そして、急に僕は思っていた疑問を思い出したので、二人にぶつけてみた。   「伊達先輩と上杉先輩は、いつから友達なんですか?」  伊達先輩は学業優秀で、見た目地味なタイプ。  上杉先輩は、派手なギャル、勉強はあまりできないと本人が言っていた。  この二人に接点があるようには思えないんだが。   「私たちは幼馴染なのよ」  伊達先輩が言う。 「家が近所だったので、幼稚園の時から、小学校、中学校、今の雑司ヶ谷高校まで同じなのよ」 「へー。そうなんですね」 「それで、上杉先輩は幼稚園の頃からこんなんなんですか?」 「『こんなん』とは何だ!」  上杉先輩が抗議してきた。 「さすがに、幼稚園の頃からギャルだと、いろいろ問題でしょう」  伊達先輩は少し笑いながら言う。  確かに、その通り。  僕らはその後も他愛ない話と、明日の予定を確認する。  それが終わったら、僕は自分の部屋に戻った。
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