雑司ヶ谷高校 執筆部
今日、妹のようすがかなりおかしいのだが。
 水曜日。  今日も学校を休んだ。  だいぶ、気持ちも楽になって来たが、もう今週は休もうと決めていた。  昨日と同じように、寝たり、食ったり、少し勉強もしながら、時間を過ごした。  夕刻、机に向かって参考書を読んでいると、廊下をバタバタを歩く音がする。妹の美咲だろう。  すると、突然、部屋の扉が開けられた。  僕は驚いて振り向いた。  するとそこには、美咲が立っていた。ちょっと怒ったような表情をしている。 「お兄ちゃん! 体調悪いって聞いてるから、栄養ドリンクあげる!」  そういうと手に持った、レジ袋から栄養ドリンクの瓶を取り出して、手渡してきた。 「別に、お兄ちゃんの為に買って来たんじゃないからね! たまたま、余っていたから!」  美咲がツンデレキャラになった。  僕は眉をひそめて尋ねた。 「え? おまえ、一体どうした?」 「お兄ちゃんがツンデレキャラが好きそうだから、やってみたら? って」 「誰が?」 「上杉さんだよ。LINEでさっき来た」  また、あの人か! 「別にツンデレキャラが好きなわけじゃない」 「でも、お兄ちゃんの持ってたエロマンガのヒロインがそんな感じだったって」  上杉先輩、エロマンガの内容を美咲に開示するなよ…。  何も言う気が起こらなくなった。  しばらく黙っていると、美咲が話題を変えた。 「お兄ちゃん、いつまで学校休むの?」 「今週一杯は休むことにした」 「上杉さんから、『みんな心配してる』って、LINEで来てたよ」 「そうか。後で自分から上杉先輩にLINEしておくよ」  ついでに、エロマンガの内容を美咲に言うなと、釘もさしておかないと。 「お兄ちゃん」 「なに?」 「上杉さんって、彼女なの?」 「そんなわけないだろ」 「でも、仲良さそうじゃない?」 「おまえ、どこを見ているんだ?」  僕は上杉先輩のカラみに、やむを得ずツッコミを入れているだけだ。 「えー、上杉さんと付き合っちゃいなよー」 「あの人とは、性格が合いそうにない」 「そうかー。残念だなー。もっと家に遊びに来てほしいなー」 「おまえが、先輩と仲良くなればいいだろ?」 「おお! それもそうだね!」  妹は納得したと言うように手を打った。そして、話を続ける。 「じゃあ、お兄ちゃんは、もう一人のほうが好みなの?」 「もう一人?」 「この前、上杉さんと一緒に来た人」 「ああ、伊達先輩か。伊達先輩とも性格が合いそうにないな」  あの人は、生徒会長選挙で僕を策略に嵌めるとか、どんな人間なのか。  あんなことをするような人とは、間違っても付き合いたくない。 「そうかー」  そう言うと、妹は部屋を出て行いこうとするが、急に振り返って強い口調で話し始めた。 「別に、こんなに長話をするつもりじゃあなかったからね。たまたま長話になった  だけだからね!」  いや、もうツンデレ設定はいいから。  僕の返事を待たず、妹は部屋を出て行った。  僕は深いため息をついた。  さて、上杉先輩にLINE入れとくか。
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