雑司ヶ谷高校 執筆部
歴史研には手を出すな!
 日曜日。   朝、9時ごろ起床する。  今日の午後は毛利さんがやって来て、僕が先週休んだ授業の内容を教えてくれるのだ。来週から期末試験が始まるのに、休んでしまったので、ちょっと勉強しないといけない。せっかく上がって来た成績がまた元に戻ってしまう。  午前中は時間があったので、今後、歴史研究部をどうするかも考えた。  部室に行く回数を減らそうと思っていたが、その通りにする。  伊達先輩と上杉先輩と僕の3人で部室に居るのは神経が磨り減る。部室に行くとしたら、毛利さんが図書委員の仕事が無い、月、水、木曜日に行けば、部室に居るのは4人になって絡みが分散されていいかもしれない。  まあ、週3回も行くこともないだろう。そして、勉強でわからないことがあれば伊達先輩に聞に行く、ということにすればいい。  うん、当面はそうしよう。しばらくは、歴史研に深入りしないようにする。  お昼ご飯を食べて、そうこうしているうちに、午後。  毛利さんが自宅やって来た。  今日の毛利さんは、白のトップスにカーキ色のロングスカートだ。基本地味。そういえば、彼女の私服姿を見るのは初めてだな。    僕は自室に彼女を招き入れる。  少し世間話をしていると、妹の美咲がジュースを持ってやって来た。 「毛利さん、いらっしゃーい」 「お邪魔してます」  美咲はジュースをローテーブルにおきながらは尋ねる。 「今日は勉強ですか?」 「そうよ」 「お兄ちゃん、勉強は結構してるはずなのに、成績が普通なんですよー。実は勉強してるふりかもしれないから、ちゃんと監視しておいてください」 「余計な事、言わなくていいよ」  僕は少々大きい声で言った。 「じゃあ、ごゆっくりー」  美咲は部屋を出て行った。  まあ、確かに勉強している割には成績はずっと中の上だ。きっと、要領が悪いのだろう。  しかし、しばらくの間、伊達先輩に教えてもらっていたし、今日は毛利さんに教えてもらうから、明日からの期末試験は完璧だ。多分。  毛利さんはカバンから教科書とノートを取り出す。  「期末試験のスケジュールも知らないでしょ?」  「知らない」  「月曜日は、英語と国語と物理よ。今日はそこを重点的にやりましょう」  「いいね。よろしく」  そんな感じで勉強会がスタートする。休んでいたところを毛利さんに教えてもらう。一緒に勉強していてわかったのだが、毛利さんは物理があまり得意でないらしい。以前の授業内容で、毛利さんが良く分かっていないところは、僕の方が教えてあげた。  なんやかんやで3時間ほど勉強しただろうか。今日のところは、ここまでにしようということになった。  僕は昨日の伊達先輩とのことを思い出して、毛利さんに尋ねた。 「毛利さんって、好きでもない人にキスする?」  唐突な内容に質問に毛利さんは戸惑っているようだ。  彼女は少し考えて答えた。 「するわけないよ」 「そうか…、そうだよな」 「なんでそんなこと聞くの?」 「昨日、キスされた」 「えっ!?」  毛利さんはとても驚いたようだ。 「誰に?」 「伊達先輩だよ」 「ええーっ!」 「キスといっても頬にだけどね」  毛利さんは、それには答えず。毛利さんは少しふくれっ面になった。  そして、教科書とノートをカバンに詰め込むと一言。 「もう帰る」  そう言って部屋を出て行く。僕は玄関まで見送るが、彼女は終始無言だった。  なんで怒ってんの?
ギフト
0