雑司ヶ谷高校 執筆部
伊達先輩に迫られる
 自室で睡眠中。  僕は体に重さを感じたので目を開けた。  すると目の前に、伊達先輩が居たので、驚いて目を見開いた。  伊達先輩は横になっている僕の上に覆いかぶさるようにして僕を見つめていた。  彼女の長い髪が僕の顔に少し掛かっている。そして、いい匂い。  さらに驚いたことに彼女は下着のみの姿なのだ。  ちなみに、下着の色は白だ。 「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと! 伊達先輩!」  僕は驚きのあまり、彼女をよける様に体を横にずらした。  ドサッ!  僕はベッドから転落して目が覚めた。 「夢か…」  それにしても、なんてリアルな夢だ。  伊達先輩と豊洲の公園で頬にキスされた一件の後、彼女の事を妙に意識してしまっている。  しかし、まさか夢にまで出てくるとは。  僕は、伊達先輩が夢だった事に残念だと…、いやいや、安堵して、ため息をついた。  僕は立ち上がって、時計を見た。  少し早いが、学校に行く準備をしよう。今日は終業式だ。  僕は制服に着替えて部屋を出た。  ダイニングでは妹の美咲が朝食を食べていた。美咲は中学の制服であるセーラー服を着ている。  美咲は僕の姿を見ると話しかけて来た。 「さっき、すごい音がしたけど?」 「ああ、ベッドから落ちたんだよ」 「ははぁーん。エッチな夢でも見てたんでしょう?」  なぜわかる? 「見てないよ」  僕は、ごまかした。  それを無視するように妹は畳みかけてくる。 「夢に出て来たのは、上杉さん? 伊達さん? 毛利さん? それとも他の女の人?」  僕は妹を無視して、ダイニングの椅子に座り、母親が準備していた朝食のパンを頬張る。 「そうかー、伊達さんかー」  なぜわかる? 「今、伊達さんの名前の時に、目元がピクッってしたよ」  そうなのか。妹に隠し事はできんな。 「そろそろ学校行かなきゃ」  そう言うと、妹は立ち上がって、家を出て行った。  僕も朝食を平らげて、ちょっと早いけど学校に行くことにした。  今日は終業式だけなので、気分が楽だ。  そして、明日から夏休みなので、心置きなく部屋でゴロゴロしてやろうと決めていた。  自宅から学校までは徒歩5分。  校舎に入り教室に着くと、クラスメイトの毛利さんがいたので、挨拶をした。 「毛利さん、おはよう」  毛利さんは笑顔で挨拶を返す 「おはよう」  毛利さんは、少し前は、ちょっとよそよそしい感じになってしまっていたが、ここ数日で、以前の様に振る舞ってくれるようになった。  機嫌が直ったようだ。なんで怒っていたのか謎のままだが。  イケメン幼馴染の悠斗も登校してきた。 「おはよう。純也。今日は早いね」 「なんか、早く目が覚めてね」 「そうか。ところで、夏休み中は何か予定はあるのかい?」 「部でお城巡りと合宿に行くよ」 「歴史研究部が合宿ってなにをやるんだい?」 「まあ、温泉でも浸かりに行こうってことらしいよ」 「へー。いいね」 「サッカー部は?」 「うちも合宿はあるよ。練習試合もいくつか」  僕らはしばらく、夏休みの予定について雑談をする。  すると予鈴が鳴った。終業式は講堂で行われるので移動する。  校長のありがたい話を聞いた後、再び教室に戻り、担任から通知表をもらう。  通知表の内容はまあまあ満足の行くものだった。  勉強、頑張ったからな。そして、勉強を教えてくれた伊達先輩と毛利さんにも感謝だ。  彼女たちとは、いろいろあったが、今後も世話になる予定だ。特に、伊達先輩とは、あくまでも打算的な付き合いだ。  担任の話も終わり、クラスは解散となった。  そして、今日は何やら部室に呼び出されている。  僕と毛利さんは部室である校舎の4階、端の端、理科準備室へ向かった。
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