雑司ヶ谷高校 執筆部
歴史研の秘密~その2
 僕ら6人はメトロで移動して、池袋のファミレスまでやって来た。  そして、一番安いランチとドリンクバーを注文。  各自好きなドリンクを取って席に戻り、飲み始める。  爽やかイケメンの大友先輩が質問してきた。 「武田君はどうして歴史研に入ったんだい?」 「え? いや…、無理やり…」 「そうなんだ」  そう言って、大友先輩は笑った。 「まあ、春に1年生が入部しなかったとは聞いていたからね。でも、入ってくれて助かったよ」 「本当に。結局、2人も1年生が入ってくれて今年度も安泰です」  伊達先輩が口を挟んだ。 「紗夜が図書室を張ってくれたおかげで」 「図書室?」 「ええ、放課後に図書室に入り浸っている人は、どこの部にも入っていないだろうということで、図書室にしょっちゅう出入りしていた武田君を勧誘したんです」 「そうかー。上杉さん、ありがとうな」 「は、はい」  上杉先輩はいつになく静かに答えた。  なんだ?  今日、上杉先輩おとなしいな。  しかも、なんかモジモジしてる。トイレなら行けばいいのに。  まあ、いいや。  次は、ボーイッシュ女子の南部先輩が質問をする。 「じゃあ、毛利さんも図書室で勧誘されたの?」 「いえ、私は違います」 「じゃあ、どうして?」 「えーと…、歴史に興味があったので」 「そうなんだ。でも、普段は歴史に関することなんてやらないでしょ?」 「そうですね」  毛利さんは苦笑した。  僕は手を挙げて質問をした。 「先輩たちの頃もそうだったんですか?」  再び大友先輩が答える。 「まあ、そうだね。僕らも部室で好きなことをしていたね」  昔から無法地帯…、いや、自由な部活だったんだな。  これを機会に色々聞いてしまおう。 「もう一つ質問良いですか?」 「どうぞ」 「100名城を回るようになったのは、いつの頃からなんですか?」 「それは、知らないなー。結構、前からやってるみたいだけど」 「そうですか。では、100名城を回る時の電車の乗り換えのルートとか考えたのは?」 「ああ、それは、昔、鉄道研究部に協力してもらったって、聞いたことがあるよ。それ以降、僕らが適当にアレンジしてるけど」 「なるほど」  僕が気になっていた歴史研の秘密がいくつか解明された。  大友先輩がジュースを飲み干したので、お代わりするため立ち上がった。 「あっ、私も行く」  南部先輩も立ち上がった。  大友、南部両先輩がドリンクバーコーナーに行ったのを見計らったところで、伊達先輩が耳打ちしてきた。 「あの二人、付き合ってるから」  ちっ…、リア充かよ。  伊達先輩が続ける。 「これまでも歴史研の部員同士で付き合うことが伝統みたいなところがあるのよ」 「それ初耳です」  なんという伝統だ。  すると、僕も歴史研の女子と付き合う可能性がある?  チラリと女子3人を見た。  伊達先輩、いつも裏で何か企んでいるみたいで不気味。  上杉先輩、いつも傍若無人にカラんでくるのがウザイ。  毛利さん、最近、急に不機嫌になるので面倒臭い。  無いな。  大友、南部両先輩が戻り、その後、僕らは世間話をして約2時間、ドリンクバーのお代わりのみで粘ってから解散となった。
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