雑司ヶ谷高校 執筆部
新聞部部長
 結局、歴史研一行は海でさんざん遊んだ。  しかし、泳ぐのは疲れるな。  陽も暮れる頃、旅館に到着したが皆、畳の上でぐったりとしている。  今回は旅館で、先生含め5人で和室となっている。  海に来たことで知ったのは、歴史研の女子達は、泳げないというわけではないが、さほど上手くないということだ。他の運動もさほど得意ではないらしい。  伊達先輩も、そうだったので少し安心した。  生徒会長で、勉強ができて、スポーツもできる完璧女子だとしたら、一体どこのマンガのキャラだよ、と言うことだ。現実はマンガのようにはいかないのだ。  僕は、すごく出来るわけではないが、泳げるし、体育の授業でやるような種目であれば平均ぐらいはできる。ちょっと優越感を感じた。  少し休んでから夕食を取ることになった。  食事は旅館のを食べることにしてあり、皆、食堂に移動した。  席について、ご飯を食べ始めた時、だれが近くから声を掛けて来た。 「あれ? 伊達さんじゃないか?」  歴史研一行がそちらの方を向くと、ちょっと小太りで良く日焼けしている若い男が立っていた。 「あら、片倉君。どうしてここに?」  伊達さんが返事をする。 「部の合宿で来たんだよ」 「それは偶然ね、私たちも合宿なのよ」  なんか伊達先輩と親しそうだ。  誰だ? と疑問に思っていると、伊達先輩が紹介してくれた。 「彼は新聞部部長の片倉君よ。生徒会長選挙の時は色々協力してくれたのよ」 「協力?」  僕は繰り返した。 「そう。私が当選するように、それとなく私の良いところを学校新聞に書いてくれたり」  それ、ダメでしょ。 「あとは、噂を流したりね」  片倉という男子が話を続ける。 「噂?」 「エロマンガ伯爵の噂を流すのを協力したんだ」  あんたも共犯かよ。 「メディアの協力を得ることは選挙で勝つには必須ね。彼は個人のツイッターでも面白いことをつぶやいているから、校内で評判なのよ。そちらでも協力してもらったし」  伊達先輩が解説する。  そうですか。  生徒会長選挙のことは、もう思い出したくない話なので、聞こえないふりをする。  片倉先輩は伊達先輩と、もう少し話しをして食堂の別のテーブルに戻って行った。そこには、おそらく新聞部員であろう7~8名の男女が談笑していた。  僕らも夕食を食べる。そして、食べ終えると、部屋に戻った。
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