雑司ヶ谷高校 執筆部
勉強会
 合宿から戻った夜、お土産を買って帰らなったので、妹の美咲に小言を言われた。  そして、次の日は、疲れでほぼ1日寝ていた。  僕に言わせれば、疲れるために合宿したようなものだった。  他のメンツはあれで楽しかったのだろうか?  さらに次の日の午前中。  僕の部屋で勉強会をやることになっている。  夏休みの宿題を、実はあまり進めていなかったが、他のメンツに対して体面を保つため少しだけ進めておいた。  そして、昼食を取って、くつろぐ。  しばらく経って、歴史研の一同がぞろぞろと僕の部屋に全員集合した。  勉強会の開始だ。  ただし、上杉先輩は、やはり勉強しない。  僕のベッドの上に寝転んで、僕のマンガやエロマンガを読んだりしている。  僕らが勉強を始めると、すぐに妹の美咲がジュースを持ってきて来てくれた。  ローテーブルの上にジュースの入ったコップを並べて言った。 「伊達さん、私も勉強みてください!」 「中学校の勉強なら、お兄さんが見てくれないの?」 「お兄ちゃんはケチだから見てくれないんです。ケチだからお土産も買ってこないし」  妹よ、余計な事まで言わなくていい。 「ひどいお兄さんね」  伊達先輩はジロリと僕を見た。  僕は、目線を逸らした。 「いいわ。見てあげる」 「じゃあ、勉強道具持ってきます!」  美咲は一旦自室に戻ると勉強道具も持って来て、バサバサとテーブルの上にノートを広げた。  テーブルの上が狭くなった。  早速、美咲は伊達先輩に質問をする。 「この問題なんですけど…」 「ああ、これは、……」  伊達先輩は丁寧に解説をする。 「おおっ! 良く分かりました!」  良く分かったらしい。  しばらく経って、今度は僕が伊達先輩に質問をする。 「この英語の訳なんですが…」 「これは、……」  良く分かった。   いつもそうだが、僕も伊達先輩の教え方は上手いと感じる。  しばらくして、毛利さんが数学の質問を、なぜか僕にしてきた。 「この問題なんだけど…」 「ん? ああ、それは、公式の……」  教えてあげた。  分かったらしいが、せっかくだから伊達先輩に聞けばいいのに。  しばらく経って上杉先輩がベッド上から、エロマンガのあるコマを指して尋ねて来た。 「ねえ、キミ。このシーンなんだけど、この体位…」  聞くなよ! 中学生の妹もいるんだぞ。 「僕は、良く分かりませんよ! そんなことより…」  話題を無理やり逸らす。 「上杉先輩は夏休みの宿題はやらなくて、いいんですか?」 「アタシは、先生に怒られない程度にやるから大丈夫」 「そうですか」  僕はそう答えたが、怒られない程度って、どのぐらいなんだろうか?  つまらない疑問が残った。  こんな感じで、時折、上杉先輩の妨害はあったものの、夕方までみっちり勉強した。おかけで宿題もだいぶ進んだ。  とりあえず、分からないところを教えてくれた伊達先輩には感謝だな。  美咲も伊達先輩に感謝して、何度も礼を言っている。  そして、皆、帰宅するので、玄関まで見送る。  毛利さんが最後に出て行こうとした時、僕に話しかけて来た。 「さっき、伊達先輩に聞いてた質問だけど…。あれぐらいなら私でも教えられるよ」  伊達先輩に一方的に教えてもらうより、毛利さんとお互い教え合った方が、貸し借りが出来なくて良いかもしれんな。  それに、2学期からは、もう歴史研の部活にはあまり顔を出さないようしようと決めていたので、ちょうど良いかもしれないと思った。 「そう? じゃあ、今度は毛利さんに聞くよ」 「うん」 「じゃあ、また」 「またね」  そう言って毛利さんは笑顔で帰って行った。  それを見送った後、僕は戻って自分の部屋の扉を開けた。  うっ…、僕の部屋なのに、女の匂いで充満している…。
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