雑司ヶ谷高校 執筆部
鉢形城(日本100名城No.18)
 高麗川駅で八高線に乗り、移動すること45分。寄居駅に到着した。  ここからは約25分の徒歩だそうだ。ちょっとキツイな。  暑い中、皆、汗をハンカチで拭いながら歩く。 「やはり、日焼け止めを持ってくるべきでした」  僕が何気なく、つぶやくと 「夏のお城巡りは、日焼け止め必須だよ」  上杉先輩に突っ込まれた。  聞くと女子3人はちゃんと日焼け止めを塗って来たらしい。次回は忘れないようにしよう。  途中、荒川に架かる橋を渡る。東京湾に注いでいるあの荒川だそうだ。  そんなこんなで鉢形城跡に到着した。  鉢形城跡は公園として公開されており、堀や土塁が残されているが、建物の類は残っていない。  鉢形城を築城したのは長尾景春と言われている。  ぶらぶらと公園内を散策して、“鉢形城歴史館” という建物があったので、そこに入ることにした。  中は冷房が効いていて涼しい。生き返るな。  ゆっくりと中の展示物などを見る。  十分に涼んだら、歴史館を後にして近くの屋根付きのベンチが並んでいるところで休憩する。僕は自販機でドリンクを買って飲んだ。    僕らはベンチで座って、しばし雑談をする。 「来週の土曜日は、足利氏館、金山城、箕輪城を回るから忘れないで」  伊達先輩が皆に確認する。 「それってどのあたりですか?」  僕は調べるのが面倒なので尋ねた。 「群馬県と栃木県よ。金山城は結構だ大変そうだから動きやすい服装で来てね」  そういえば、駅から遠いお城もあると聞いていたな、今日の鉢形城も徒歩20分以上かかったから、それ以上という事か。 「武田君は、明日から卓球部の合宿だったわよね?」  伊達先輩が話題を変えた。  そうなのだ。僕は、先日の温泉卓球勝負で負けたせいで、明日から2泊3日で卓球部の合宿の手伝いに行く約束をさせらたのだった。 「そうです…。気が重いです」 「まあまあ、合宿の恒例で最終日には温泉に入りに行くらしいわよ」  温泉ぐらいでは、テンションは全く上がらない。 「きっと混浴だよ!」  上杉先輩が適当なことを言う。 「そんなわけないですよ」 「どこへ行くの?」  毛利さんが尋ねた。 「河口湖にある広い卓球場のある旅館だって」 「へー。いいなあ」  全く良くない。 「卓球部と言えば、同じクラスの明智さんも確かそうよ」 「明智さん…?」  クラスメートにあまり興味が無いので、名前は憶えていたが、顔が思い浮かばない。  まあ、明日会えばわかるか。  僕らは再び寄居駅へ向かい、電車を乗り継いで池袋まで。そして、そこからそれぞれ帰路についた。  夕方に自宅に戻ってこられたので、明日の卓球部の合宿の準備を、ゆっくりすることが出来た。
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