雑司ヶ谷高校 執筆部
またも陰謀か?
 無理やり付き合わされた卓球部の合宿最終日。  やっと終わるな。  この日は、午前中だけ練習をして、午後は部員たちで日帰り温泉に浸かってから東京に戻るということになっている。  合宿場の大浴場は水道水を沸かしたもので、温泉ではなかったそうだ。  歴史研もそうだったが、何で、皆、温泉が好きなんだろうか? 謎は深まる。  というわけで、午前中は部員同士のラリー練習とか試合形式の練習だったので、僕は球拾いを少しやったが、ほとんどやることもなく。  やっぱり、自分、来なくても良かったよなあ。あんまり仕事してない。  そして、合宿所を後にしてバスに乗り、最終目的地の日帰り温泉施設へ。  ちなみに日帰り温泉施設は、混浴ではないぞ。  卓球部男子達と一緒に入ったが、温泉は露天で富士山が見える良いところだった。  こういうところの温泉だったら、ちょっといいかもと思った。前言撤回。  そして、日帰り温泉施設を去り、河口湖駅まで。帰りの新宿行きの特急列車に乗る。  卓球部は、そもそも知らない人たちばかりだったので緊張して、かなり疲れたが、もう少しの辛抱だ。  一昨日の夜以降は、明智さんに怒鳴られることもなかった。  それに、週末にはまた歴史研の城巡りがある。次は確か、金山城、足利氏館、箕輪城の3つだったかな。それまでの2日間は、卓球部の合宿の疲れもあったので、ゴロゴロしてやろうと決めた。  列車の座席に座っていると、島津先生が近づいてきた。 「今回はありがとう。助かったわ」 「あんまり、やることが無かったので、僕が居なくても良かったのでは?」 「そんなことないわ。羽柴君にもあなたを紹介したかったし」  どういうことだ?  まさか、僕を卓球部へ引き込もうと思っているのか?  いや、待てよ。  そもそも、歴史研の温泉卓球の勝負のところから話が怪しい。  僕を卓球部の合宿に参加せざる得ないような無茶な勝負をさせたということはないか?  あの伊達先輩、上杉先輩なら十分すぎるほど考えられるぞ。  また罠に嵌められたということだろうか?  次に会ったら聞いてみよう。まあ、正直に本当の事を言うとは思えないが。 「よかったら放課後の練習にも参加してね」  島津先生はそう言って自分の座席に戻って行った。  絶対行かない。  新宿までの残りの1時間少々の行程を寝たふりして過ごした。  そして、新宿で特急を降り、乗り換えて池袋まで行き、そこで解散となった。  あ、妹にお土産を買うのを忘れた。これは、また、なじられるな。
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