卓球部の合宿から帰宅すると、案の定、妹にお土産が無い事をなじられた。
その後の2日は、気疲れが酷かったので自宅でゴロゴロして過ごした。
やっぱり、自分の部屋が一番良いな。
そして、あっという間に週末の土曜日、今度は歴史研のお城巡りの日だ。
事前にラインで集合時間が伊達先輩から来ていた。朝の6時だ。
歴史研の集合時間はいつも早いよな。在来線の移動だから、時間がかかるのでこうなるのだが、何とかならんものだろうか?
今日はちゃんと日焼け止めを持ってきたぞ。
僕は、いつもの待ち合わせ場所、いけふくろう前に到着した。
少し早かったので、どうやら一番乗りのようだ。
少し待つとやって来たのは上杉先輩だった。
上杉先輩、意外に時間はしっかり守るんだよな。
「おはようございます」
僕は挨拶をした。
「おはよう」
上杉先輩は何やらニヤニヤして話しかけて来た。
「聞いたんだけど、卓球部の合宿でタマタマ出したんだって?」
「はあ? そんなことしませんよ」
「じゃあ、出したのサオのほう?」
「どちらも出してませんよ! 何言ってるんですか? ひょっとして“球出し練習”のこと言ってます?」
「そうそう、確かそう言うの」
「卓球部の合宿でも真面目にやってましたよ。それに、上杉先輩は話を下の方に持っていくの、もう止めませんか?」
「えー。私がエロいのはキミのエロマンガの影響のせいだよ」
「上杉先輩がエロいのは僕のせいだと?」
「そういうこと」
「濡れ衣ですよ。だったら、僕の部屋のマンガを持っていくのを止めてくださいよ」
「やだ」
などとアホな会話をしていたら、伊達先輩と毛利さんもやって来た。
今日はみんな動きやすいTシャツにチノパン。今日の訪問予定の金山城が山の上にあるらしいからな。
「「おはよう」」
二人は挨拶をする。
「卓球部の合宿はどうだった?」
伊達先輩が尋ねてきた。
「ええ、まあ、それなりに」
「そう。島津先生から『良い選手になりそうだ』ってメッセージが来てたわよ」
「卓球選手になる気はないです」
何故、選手にしようとする?
僕は、先日、気になったことを尋ねる。
「ところで、僕が卓球部の合宿に行くように仕組んだのは、伊達先輩ですか?」
「え? どうして?」
「いえ…、なんとなく」
仕組んでいたとしても、流石に本当の事を言うわけないか。
「なんでも私のせいにしないで」
「すみません…」
一応、謝った。しかし、完全に容疑が晴れたわけではないぞ。伊達先輩は油断ならないからな。
「じゃあ、そろそろ行きましょう」
伊達先輩の号令で一行は、電車に乗るため改札口へ向かった。