自室で睡眠中。 　僕は体に重さを感じたので目を開けた。 　すると目の前に、毛利さんが居たので、驚いて目を見開いた。 　毛利さんは横になっている僕の上に覆いかぶさるようにして僕を見つめていた。 　さらに驚いたことに彼女は下着のみの姿なのだ。 　ちなみに、下着の色は白だ。 「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと！　毛利さん！」 　僕は驚きのあまり、彼女をよける様に体を横にずらした。 　ドサッ！ 　僕はベッドから転落して目が覚めた。 「夢か…」 　それにしても、なんてリアルな夢だ。 　昨日、毛利さんと“お疲れ様会”と称して遊びに出かけ、サンシャインシティの屋上のベンチで彼女に小指を絡めてられてからというもの、彼女の事を妙に意識してしまっている。 　しかし、まさか夢にまで出てくるとは。 　僕は、毛利さんが夢だった事に残念だと…、いやいや、安堵して、ため息をついた。 　僕は立ち上がって、時計を見た。 　少し早いが、学校に行く準備をしよう。今日９月１日、始業式だ。 　僕は制服に着替えて部屋を出た。 　ダイニングでは妹の美咲が朝食を食べていた。美咲も当然今日が始業式。 　美咲は中学の制服であるセーラー服を着ている。 　美咲は僕の姿を見ると話しかけて来た。 「さっき、すごい音がしたけど？」 「ああ、ベッドから落ちたんだよ」 「ははぁーん。また、エッチな夢でも見てたんでしょう？」 「見てないよ」 　僕は、ごまかした。 　それを無視するように妹は畳みかけてくる。 「夢に出て来たのは、また伊達さん？」 「違うよ」 「別の人かぁ」 　僕はニヤつく妹を無視して、ダイニングの椅子に座り、母親が準備していた朝食のパンを頬張る。 「お兄ちゃん、女たらしも、ほどほどにね」 　全然たらしてない。 「そろそろ学校行かなきゃ」 　そう言うと、妹は立ち上がって、家を出て行った。 　僕も朝食を平らげて、ちょっと早いけど学校に行くことにした。 　今日は始業式だけなので、気分が楽だ。 　早く帰ってきて部屋でゴロゴロしてやろうと決めていた。 　学校に到着。 　校舎に入り、げた箱で上履きに履き替える。 　そこで、聞きなれた声の挨拶。 「おはよう」 　毛利さんだった。 「わっ！」 　僕は今朝の夢のこともあって思わず、驚いてしまう。 　脳裏に毛利さんの下着姿の妄想がよみがえってきた。 「どうしたの？」 　彼女は怪訝そうに尋ねた。 「ゴメン、急に声を掛けられたので、驚いたよ」 　僕は何とかごまかした。 　毛利さんも上履きに履き替えるのを待って、僕らは一緒に教室へ向かう。 　教室で席についてしばらくすると、イケメン幼馴染の足利悠斗も登校してきた。 「久しぶり、純也。夏休みはどうだった？」 「いろいろ大変だったよ。お城巡りと合宿。卓球部の合宿にも行くことになってしまって行ってきたよ」 「卓球部？　なんでまた？」 「歴史研の顧問の島津先生が卓球部の顧問の掛け持ちなんだけど、その関係で半ば無理やり」 「それは災難だったね」 「サッカー部はどうだった？」 「合宿も、練習試合もやったよ。俺は１年だけどスタメンで試合にも出させてもらった。今月の練習試合もスタメンの予定だよ」 「へぇ。やるね」 　悠斗はサッカーが、物凄く上手いからな。 　僕らはしばらく、夏休みにあったことについて雑談をする。 　すると予鈴が鳴った。始業式は講堂で行われるので移動する。 　校長のありがたい話を聞いた後、再び教室に戻る。 　担任の話も少々長くなったが何とか終わり、クラスは解散となった。 　どうしようか悩んだが、一応、歴史研究部の部室に顔を出しておくか。 　ということで、僕と毛利さんは部室である校舎の４階、端の端、理科準備室へ向かった。