雑司ヶ谷高校 執筆部
席替え
 翌日。  朝一から開催されたクラスのホームルームで席替えがあった。  クラス委員長が主導してクジ引きを作り、全員がそれを引く。  生徒たちは引いたクジの座席の位置で喜んだり、悔しがったりしている。  僕も当然クジを引いた。結果、窓側から2列目後ろから2番目という、まあまあな好位置。寝れる。  さっさと机を移動して座り、他の生徒たちの移動を眺めていたら、しばらくして隣の窓側の席にやって来たのは、あろうことか卓球部の明智優衣だった。  彼女は、夏休み中に無理やり付き合わされた卓球部の合宿で、僕に怒鳴ってきたヤツだ。  お互い目が合うと、彼女は苦虫を嚙み潰したような表情になった。  そして、クラス内の他の生徒に向かって大声を上げた。 「誰か、座席変わってくれない?!」  クラス内がざわついていたので、近くの数人が振り返ったが、誰もそれ以上は反応しない。  もう一度、明智さんは叫ぶ。  すると、毛利さんが明智さんに歩み寄ってきた。そして、交渉し、毛利さんの座席と交換することになった。  毛利さん、でかした!  隣が毛利さんなら安心できるな。明智さんだと、また怒鳴られるかもしれんし。これで2学期はクラスでは安泰だ。  毛利さんが机と椅子を移動して、僕の隣に座ると笑顔で挨拶してきた。 「よろしく」 「こちらこそ」  僕も笑顔で返事した。  クラス全員の座席の移動も終了すると、お次は担任から進路希望の紙が配られた。  そうだった。2学期は入るとすぐに進路希望を提出するという話は聞いていたが、結局、深く考えてなかった。  とりあえず、文系希望で提出。この希望を元に2年生になった時のクラス分けが行われる。まあ、最悪、気が変わったら変更も可能だろう、という軽い気持ちで提出しておいた。  進路希望の紙の回収が終わると、隣の席の毛利さんが話しかけてきた。 「文系、理系、どっちにしたの?」 「文系だよ」 「じゃあ、2年も一緒のクラスになれるかもね」 「そうだね」  今、学校で話をする相手が毛利さんか幼馴染の悠斗ぐらいだから、どちらかと同じクラスになれれば僕もそれが都合が良さそうだ。  でも、2年生ってまだ半年以上先の話なのに、毛利さん、気が早いな。  さて、ホームルームは続き、お次は学園祭でやるクラスの出し物について話し合いが始まった。
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