雑司ヶ谷高校 執筆部
図書室
 翌日の木曜日。  放課後、僕は図書室の本の整理に狩りだされた。  学校のOBの私的な蔵書から大量の書籍の寄付が来るので、その整理と、元々、図書室にあった人気の無い書籍を書庫に移したり、処分したりする作業もついでにやろうということになっている。  学園祭直前の忙しい時期に、この作業はちょっと大変そうだ。  本来これは、生徒会と図書委員の仕事なのだが、なぜ、僕が居るかというと寄付された書籍のリスト化をするため、パソコンに書籍のタイトルと著者を入力していく作業を伊達先輩にお願いされたからだ。  お願いというより、半ば強制だが。  というわけで、放課後、僕と図書委員である毛利さんは連れ立って、図書室に着くと、机の上に本が山の様に積みあがっていた。  本の入った段ボールは業者によって昼頃に届けられていたようだ。図書室の一角に数個の段ボールがあった。  先に、常に図書室に居る司書の先生が、その段ボールから1人で箱を開けて中身を出し、図書室に並べるか、書庫行きかどうかを分別していたようだ。  司書の先生がいるんだな。40歳代ぐらいの女性。知らなかったな。まあ、居て当然か?  生徒会長の伊達先輩、副会長の松前先輩、書記の佐竹先輩は既にやって来て、まだ開けていない段ボールの中の本を机に並べる作業をしていた。  他のクラスの図書委員も徐々に集まってきた。総勢15名程度の人数だ。  図書室に居る司書の先生の指示に従って、皆は、先生によって前もってリスト化されていた紙を手に、図書室にあった人気の無い書籍を書庫に移したり、処分したりする作業を開始した。  僕は早速、山の様に積みあがっている本のタイトルと著者名をノートパソコンで入力していく。ノートパソコンは生徒会室にあったやつだった。  僕の入力が終わらないと、実際に本棚に並べる作業が始まらないので、軽くプレッシャーを感じながら、作業を開始する。  しかし、入力しなければいけない量は結構多い。2日間で終わるのだろうか?  などと疑問を感じながら、作業を進める。  僕の入力が終わったものから、適時、仕分けをするために、その書籍を先生が持って行く。  そんなこんなで、下校時間になり、1日目は終了した。  残った本を見たところ、なんとか半分は入力が完了している。山も半分に減った。何とか明日には終わるだろう。  それにしても疲れた。  そして、2日目の金曜日。  昨日と同様に放課後に毛利さんと図書室に向かう。  作業をする他のメンツも、ぼつぼつ集まって来て作業を開始する。  そして、何のトラブルも無く、皆の作業はどんどん進み、机の上の本の山も少なくなっていく。  タイムリミットの下校時間の少し前に僕の入力作業が一足先に完了した。  しかし、これは疲れた。普段こんなにPC入力をすることが無いので、手も腱鞘炎になりそうだ。早く家に帰って休みたい。  他の作業をしている皆もぼちぼち完了し始めたようで、机に座って休んだり、だべったりしている者も数名いる。  司書の先生が、僕の作業が完了したのを見て、話しかけてきた。 「ご苦労様。そのデータをこのUSBに移してもらえる?」  僕はUSBを受け取って、さっきまで入力していたエクセルデータを移動させる。  移動が完了し、再び先生にUSBを戻した。 「ありがとう。武田君の作業は無いから、もう帰ってもいいわよ」  先生はそう言って立ち去った。  お言葉に甘えて、一足先に帰宅するか。  カバンを持って立ち上がろうとした時、ふと見ると自分の作業していた机の離れたところに2冊ばかり本が置いてあった。  はて? これは書庫行きか? 処分するものか?  その2冊の本を手に取る。  司書の先生は? 本を手にしたまま、図書室内をぶらっと探してみるが姿が見えない。書庫に行ったのかな?  図書室の奥にある扉の向こうが書庫だ。そちらに行ってみるか。  そんなわけで、僕は書庫へ向かう。
ギフト
0