雑司ヶ谷高校 執筆部
占いメイドカフェ2日目~その2
 メイドによると、今日は昨日よりお客さんが多いそうで、外の廊下にも長い行列ができているらしい。確かにオムライスの出る量も多い。  多めに仕込んどいて正解だったな。  なんやかんやでお昼前となった。店内を見回すとお客さんは変わらず一杯だ。 「おお! 武田君!」  声を掛けてきたのは、今度は織田さんだった。その後ろにはクラスの陽キャ友だちが2人いる。  昨日の舞台“白雪姫”でのキスが脳裏をよぎる。  僕は動揺を抑えながら、お約束の挨拶で返す。 「お、お帰りなさいませ、お嬢様」 「執事姿も様になってるね」  織田さんは、お世辞を言う。  僕はオムライスを作る手を止めずに話を続ける。 「ありがとう。そう言えば、今日は演劇部でも何か舞台をやるんじゃあ?」 「ええ、さっき終わったわ」 「何をやったの?」 「『オセロ』よ」  オセロ? 何だ、それは? リバーシか? 「そうなんだ、お疲れ様」  よくわからないが、労いの言葉を口にした。 「今度、動画、見せるわ」 「え、ああ、うん」  興味ないんだけどな。 「じゃあ、邪魔になると悪いから、これぐらいで行くわ。頑張ってね」  そういうと、織田さんと陽キャ友達はメイドに案内されて席に着いた。  そのやり取りを見ていたメイドの一人が声を掛けてきた。 「何? 彼女?」 「いやいやいやいや。違いますよ。彼女は同じクラスで、昨日、クラスの出し物で白雪姫をやった人です」 「えー! ということは、武田君とキスした人?!」 「まあ、そう言うことになりますが、あれはあくまでも演技でー」 「ちょっと話をしに行こう」  僕の話を途中までしか聞かずに、メイドは織田さんの方に行った。  やれやれ。  チラ見すると、メイドと織田さんは何やら楽し気に話をしているが、なんの話をしているのだろうか?  午後1時頃、まだまだ、カフェはお客さんで一杯だ。  松前先輩と津軽先輩が生徒会の仕事から戻ってきて、メイドとして参加してきた。伊達先輩はまだやることがあるそうで、生徒会室にいるという。生徒会長も何やら大変だな。  しばらくして、聞きなれない声。 「お兄さん、来たよ」  顔を上げると正面に女子の3人組。 「お帰りなさいませ、お嬢様」  もう、反射的にこのセリフが出る様になった。  そして、この3人組は…、誰だっけ?  そうだ、先週、東池女子校に、カフェのフライヤー配りに行ったとき時に絡んできた3人組。 「お兄さん、オムライス、作ってるんだね」 「是非、食べて行ってください、お嬢様。当たる占いも後ろでやってますよ」  まあ、占いでは、なにか売りつけられるかもしれんけど。 「「「りょうかーい」」」  3人組は明るく返事をすると席に戻って行った。  なにやら、千客万来だな。
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