雑司ヶ谷高校 執筆部
Obscene Magical Girls
 夕方、帰宅。  夕食を食べ、風呂に入った後、ベッドで寝転んでくつろいでいるとスマホが鳴った。  LINEで織田さんからメッセージが。 『なんか、私たち噂になってるね』 『そうだね。困ったもんだ』 『私は、困ってないけど?』 『そう?』 『迷惑?』 『いや、平気だ』  ちょっと迷ったけど、もうひとつの噂について尋ねた。 『別の織田さん自身の噂についてなんだけど』 『私の?』  織田さんを怒らせないように、ちょっと考えて、言葉を選んでメッセージを送る。 『なんか、男が好き、だとか、そういう噂』 『ああ、あれね。ヤリマンとか言うやつでしょ。本当だよ』  “ヤリマン”とか、直接的だなあ。  そして、本当だったのかよ。 『夏休み終わるぐらいまでに、何人かと付き合ってた。私とすぐヤレるって噂が広がってから、ヤリモクの男どもが集まってくるけど、そういう連中とは関わらないようにしてる』 『そのほうが、いいね』 『うん。武田君はそんなことないから安心』  安牌と思われている。  喜んでいいんだろうか? 良くわからないな。  確かに織田さんとヤリたいということは無い。恋愛感情も無いからな。  続けて織田さんからメッセージが。 『今は、誰とも付き合ってない』  さらに、メッセージが来た。 『週末、またどこか遊びに行かない?』  どうしようか?  織田さんのノリに、まだ慣れない。  それに、また、興味ない映画とかカラオケとか連れていかれると困る。  しかし、来月から演劇部で忙しくなる織田さんにとっては、思いっきり遊べる最後の週末のはずだ。付き合ってあげるか。  じゃあ…、 『いいけど、今度は僕が行くところ決めてもいい?』 『いいよ。どこ行くの?』 『それは、お楽しみということで』  どこに行くか、何も考えていない。これから考える。 『わかった。楽しみにしてる』  そして、“おやすみ”っていうスタンプが来た。 『おやすみ』  僕はメッセージで返した。  しばらくすると、またスマホが鳴った。  LINEだ。  織田さんかと思ったら、魔法少女コスプレアイドルの細川さんだった。  ユニット名、何だったっけ?  Oh My God!  じゃなくて、  Obscene Magical Girls  だったっけ?    ともかく、LINEを開く。  そして、細川さんからのメッセージを見る 『こんばんは♡お願いがあるんだけど』 『何?』 『合コンしない?』  はあ?  予想外のメッセージで面食らった。  返事に困る。 『合コンしたことないんだけど』 『マジで? でも、いいから、武田君とあと2人集めて。こっちはOMGの3人ね』 『そもそも、アイドルが合コンやって、いいの?』 『いいの。私たちのファンは理解があるから、彼氏が2、3人いても大丈夫』  『彼氏が2、3人』はアイドルで無くても問題あるのでは?  まあ、本人がいいと言うなら、いいのだろう。  しかし、友達が悠斗しか居ない僕にそれを頼むとは、細川さんも見る目がないな。  そもそも、合コンとかいう、陽キャの会合に興味ないんだけど。 『悪いけど、ちょっと難しいね』 『なんで?』 『合コンに興味ないんだ』 『マジで? Σ(゚Д゚)』  しばらくして続きが来た。 『男子と知り合えない女子校の哀れな私たちのために、協力してよー(T_T)』  めんどくさいな。 『考えとくよ』  と、取り敢えず返す。 『やったー♡じゃあ、よろしくねー♡♡♡』  考えると言っただけで、協力するとは言ってないぞ。探さないぞ。  とりあえず放置することにする。  その後は、ベッドの上で、くつろいで就寝した。
ギフト
0