雑司ヶ谷高校 執筆部
佐倉城(日本100名城 No.20)
 土曜日。  お城巡りの日。  今日は、千葉県の佐倉城に向かう。  距離も遠くなく、1つだけということで、日帰りの旅。  午前10時に池袋のいけふくろう前に集合。  集合時間はありがたいことに、いつになく遅い時間だ。  池袋から日暮里で京成線に乗り換えて、京成佐倉駅まで。  京成佐倉駅から佐倉城跡まで徒歩20分程度だという。  伊達先輩の提案で、佐倉城の前に国立歴史民俗博物館にもよってみようということになった。  国立歴史民俗博物館は佐倉城址内に建てられているので、移動が増えるということはないという。  そんなわけで、国立歴史民俗博物館に到着。  入城料を払って中へ。  そこには、古代から現代までの日本の歴史と文化についての展示が大量にあった。  ともかく展示のボリュームがすごいので、すべて見るのに3時間近くかかってしまった。  疲れる。  博物館内のレストランで遅い昼食を取って、休憩もしてから、佐倉城跡を巡る。  といっても博物館が既に佐倉城跡の敷地内なので、食後の腹ごなしの散歩だ。  佐倉城は戦国時代に千葉氏によって築城が始まったと言われているが頓挫。後に、徳川家康の命で土井利勝によって築城が再開され完成したという。  佐倉城は石の城壁が無く、土塁と空堀、水堀で囲われていた。  明治維新後に廃城令により建物のほとんどが撤去され、その後、日本陸軍の駐屯地となっていた時代もあった。  現在は佐倉城址公園として整備されている。  僕らはブラブラと歩いて見学する。公園では遊んでいる家族連れを何組も見ることができた。  その後は、JRの佐倉駅まで徒歩で移動し、帰路に就いた。  千葉駅~東京駅と乗り継いで、池袋駅まで。  帰り道、電車の中で伊達先輩と話をする。彼女によると、これで関東近郊のお城はすべて巡ったことになる。  あとは、遠隔地ののみとなる。  1、2年生で全国のお城を巡ることになっているので、先輩たちは1年生の時は、遠隔地ばかり回っていたということのようだ。  池袋駅で皆と別れる。  僕は自宅に帰宅して、ベッドに横になって一息ついた。  僕には週末もう一つやらないといけないことがあった。  雪乃と付き合い始めて、ちょうど1か月が経つ。  彼女とは付き合う時に、僕は彼女に対して恋愛感情が無いと伝えた。それで、話し合いの結果、(仮)で付き合ってみて、1か月後に彼女に対して恋愛感情が生まれれば付き合い続けるという約束になっていた。  そして、そろそろ、どうするかを彼女に伝えなければいけない。  僕がスマホを手にしてLINEで雪乃に連絡をして明日の予定を確認する。 『明日、ちょっと時間取れないかな?』  しばらく待つと雪乃から返事が来た。 『明日の夕方5時ぐらいだったら演劇部のリハが終わっているから、時間取れるよ』 『リハって学校の空き教室でやってるんだっけ?』 『そうだよ』 『じゃあ、明日、夕方5時に教室で会えない?』 『後片付けがあるから5時半でいい?』 『いいよ』  明日、雪乃との関係の決着を付けようと思っている。  少し悩んだが、僕の答えは決まっていた。その結果を彼女に伝えるつもりだ。
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