雑司ヶ谷高校 執筆部
問題解決
 12月になった。  時の経つのは早い。もう、1か月で今年も終わりである。  1年、色々あった。おかげで、様々な悩みを抱えているが…。  特に北条先輩の件は、なんとか解決したいなぁ…。  無理なんだろうか。  登校し、授業を受けて、昼休みには体育館の観客席で毛利さんと一緒に弁当を食べ、放課後は歴史研の部室へ行く、というローテーションの日々が2日続いた。幸いなことに、これまで北条先輩に会うことも無かった。  そして、金曜日。  この日は、放課後は図書室で宿題をしていた。  すると、聞きなれた声で僕の名前が呼ばれた。 「武田君」  僕は顔を上げる。そこには新聞部部長、片倉先輩が立っていた。 「あ、こんにちは」  僕は挨拶をする。 「やあ」  片倉先輩は簡単に挨拶をすると、僕の隣の席に座った。 「武田君、北条に脅されてたでしょ?」 「えっ?!」  片倉先輩の言葉に驚いた。何で知ってるんだろう? 「ええ…、脅されてます」 「もう、大丈夫だから」 「えっ?!」  想定外の言葉の驚いて、図書館に居るにも関わらず大声が出てしまった。  僕はあわてて口をふさぐ。  そして、静かに尋ねた。 「どういうことですか?」 「じつは、君が北条にトイレに連れ込まれた時、個室で用をたしてたんだよね。それで、君を脅していた時の状況の一部始終をスマホのボイスメモで録音したんだよ」 「それって…、たまたまですか?」 「たまたまだよ。それで、そのボイスメモで逆に北条を脅しといたから。あんな風に君を脅迫するなんて、下手すりゃあ停学でしょ。それで、君に手を出したら先生に通報するとか、ツイッターで拡散するって言っといたから、もう君と彼女に何かするってことはないってよ。ちょっと、交渉に時間がかかってしまったけどね」 「交渉?」 「うん、君の件以外でも、生徒会に楯突くなとか、いろいろ要求を飲ませていたから」 「そうでしたか」  片倉先輩の言うことが正しければ、僕の件だけでなく、生徒会の抵抗勢力の件もクリアになった。  これで北条先輩のことはもう心配しなくてもいいということか。 「いずれにせよ、助かりました。ありがとうございます」  僕は礼を言った。 「いいって、いいって。じゃあね」  そう言うと、片倉先輩は立ち上がって図書室を去って行った。  片倉先輩、ファインプレーだな。  彼の事を苦手とか思って、悪かった。と、僕は心の中で謝った。  しかし、片倉先輩が偶然トイレに居たから良かったものの、そうでなかったら最悪な状態が続いていたと考えるとぞっとするな。  まあ、片倉先輩には、何か、恩返しでも考えておこう。  とりあえずは一番の悩み事が消えたということで、安堵のため息をついた。  引き続き図書室で勉強していると、別の人物に声を掛けられた。
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