雑司ヶ谷高校 執筆部
後始末
 夜が明けた。  目が覚めると、もう太陽が昇っていた。  時計を見ると10時を回っている。  初日の出を見に行くことなく元旦の朝を迎えた。例年、初日の出を見に行くこともないので、別に良いのだが。  女子たちはどうしているのだろうか? と、思って起き上がると、両親と妹がダイニングテーブルに座っておせち料理を食べていた。  妹は、僕が起きたのに気が付くと話しかけて来た。 「お兄ちゃん、起きた? みんな、もう、帰っちゃったよ」 「そうか…」  僕はあくびを1つして、居間を出て階段を登り自分の部屋にやって来た。  そして、扉を開けて部屋の中を見る。  床には来客用の布団が畳まれていた。  そして、ある程度ゴミは纏められているが宴会の残骸が残っている…。  まったく、好き放題だな…。  僕は部屋に戻って、宴会の後始末をする。  妹も部屋までやって来て、後始末を手伝ってくれる。  女子たちに貸したジャージやトレーナーが畳んでベッドの上に置いてあった。  これも洗濯しないといけないよな。  ジャージを見ていると、妹が話しかけて来た。 「お兄ちゃん、みんなが着てたやつ、匂い嗅がないでよ」 「え…? 嗅ぐわけないだろ」  そうか、それは気がつかなかったな。後で嗅ごう。  部屋を片付けると、僕らはダイニングに戻る。  しばらく家族だけで過ごし、おせち料理を食べたりした。  そして、親からお年玉をもらった。正月の楽しみって、これぐらいだよな…。  居間で家族で少しだけテレビを見る。  正月のTV番組ってあまり面白いと思わない。そもそも普段もTVあまり見ないけど。  TVに飽きたので、自分の部屋に戻る。  おや? 女子たちが着ていたジャージとトレーナーが無いぞ。  居間に戻って妹に尋ねる。 「ジャージをどこかにやったのはお前か?」 「洗濯してるよ」 「えっ?! 勝手に部屋に入るなよ」 「お兄ちゃんが、良からぬ使い方をしないように早めに洗濯しなきゃと思って」  見抜かれたか…。  まあ、自分で洗濯する手間が省けた。妹は元旦早々、洗濯してくれてご苦労なことだな。  しょうがない、ジャージの匂いを嗅ぐのは諦めて自室に戻り、ベッドに横になる。  昨夜、毛利さんに起こされて、あまり熟睡できなかったので昼寝をする。  夕方ごろ、スマホが鳴ったので目が覚めた。  LINEで上杉先輩からだ。 『奴隷契約が明後日で切れるけど、明後日、ちょっと買い物に付き合ってよ。荷物持ち』  仕方ないな…。でも、奴隷最後の日だと思うとちょっと嬉しい。  まあ、雪乃と毛利さんにレンタルされる2日分が残っているのだが。  LINEで返事を返す。 『どこに買い物に行くんですか?』 『渋谷』  渋谷か。人混みが苦手なので、普段、全然行かないな。  でも、命令なので付いて行かないといけない。 『わかりました。何時ですか?』 『10時にハチ公前ね』 『わかりました』  上杉先輩とのLINEを終え、またゴロゴロしていると、再びスマホが鳴った。  雪乃からのLINEメッセージだ。 『4日は私の奴隷で、5日は歩美の奴隷やるじゃん?』 『それで、歩美と相談したんだけど』 『4日と5日を合わせて、2日間、私と歩美の2人の奴隷になってもらうことにした』  え? それって…、どうなの?  ちょっと疑問を感じたが、拒否権は無いだろうから、渋々受け入れることにする。 『わかったよ』  続けて雪乃のメッセージ。 『それで、4日はどこかに遊びに行こうってことにしたよ』 『どこに行くかは、純也が考えて』 『純也の考えるデートコースはすごくいいから』  え? デートなの? 3人で?  まあ、いいや。 『わかったよ』 『それで、4日の夜は私の家、誰も居ないから私の家でお泊り会ね』  えええっ!? ちょっと待って、それって…。  続けてメッセージ。 『歩美も泊まるから』  それなら大丈夫か?  いや、全然、大丈夫じゃないぞ。  一応確認する。 『それ、大丈夫なの?』 『いいのいいの』  軽っ。  またまた雪乃からメッセージ。 『5日は、そのまま家で冬休みの宿題をやる勉強会ね』  もう、僕は考えるのは面倒なので、簡単にメッセージを返す。 『わかったよ』  さて、デートコース考えないと。  明日、ネットで検索でもするか。  しかし、また波乱の予感がするなあ…。  考えるのが面倒くさいので、とりあえず再び寝ることにする。
ギフト
0