雑司ヶ谷高校 執筆部
雪乃と毛利さんに迫られる
 自室で睡眠中。  僕は体に重さを感じたので目を開けた。  すると目の前に、雪乃と毛利さんが居たので、驚いて目を見開いた。  おっ!    2人は横になっている僕の上に覆いかぶさるようにして僕を見つめていた。  雪乃の髪が僕の顔に掛かっている。そして、いい匂い。  さらに、2人は下着のみの姿なのだ。  ちなみに、下着の色は白だ。  ふふふ。これは夢だ。  何故なら、雪乃の下着の色が、白なはずがないからだ。  以前、見えたブラチラでは、水色とか紫とかピンクとかだった。  という訳で、夢なら好きなことをやらせてもらう。  僕が手を伸ばした、その瞬間…。 「起きろー!!」  突然、妹の声が聞こえた。 「わっ!!」  僕は驚いて目が覚めた。  ベッドの横でセーラー服の妹が立っていた。 「な、な、なんだよ!」 「もう、朝だよ! 起こしに来たんだよ!」  ちっ、いいところで、起こしやがって。 「お兄ちゃん、ニヤつきながら寝てたよ。朝からキモイなー。どうせ、Hな夢でも見てたんでしょ?」 「見てないよ」  僕は誤魔化した。 「どうでもいいから、早く準備しなよ。私は、もう行くね」  そう言うと妹は中学に出かけて行った。  そうなのだ、今日から3学期。  学校に行くのは少々憂鬱だが、仕方ないので準備する。  朝食を取って、家から5分の雑司が谷高校に登校。  校舎に入り、げた箱で上履きに履き替えていると、元気よく挨拶してくる声。 「おお! 純也! おはよう!」  この声は雪乃だ。  彼女は3学期もテンションが高い。 「おはよう」  僕は今朝の夢の雪乃の下着姿の妄想がよみがえってきた。 「どうしたの? ニヤついて」  彼女は怪訝そうに尋ねた。 「え? ニヤついてないよ」  僕は何とか誤魔化した。 「ふーん…。奴隷の件だけど、後で話そう。じゃあ」  とだけ言い、雪乃は颯爽と教室に向かって行った。    奴隷はやらないぞ。  続いて僕に挨拶してくる聞きなれた声。 「武田君、おはよう」  毛利さんだ。  今度は夢の毛利さんの下着姿の妄想がよみがえってきた。 「おはよう」  僕は返事を返す。 「どうしたの? ニヤついて」  毛利さんは真顔で尋ねた。 「え? ニヤついてないよ」  僕は、ここでも何とか誤魔化す。  ところで、毛利さんは普段は下着の色は白なんだろうか?  毛利さんのブラチラを見たことがない。  僕は上履きに履き替えて教室に向かう。毛利さんは後をついて来る。  教室に入ると、ちょうど悠斗も登校して教室に入って来た。  悠斗が僕のところまで来て、話しかけてきた。 「純也、おはよう」 「やあ、悠斗、おはよう。今日の放課後、例の“ブツ”を池袋のヤマダ電機あたりで買うことにするよ」  “ブツ”とは、VRゴーグルのことだ。  それを聞いて悠斗は嬉しそうに、ほほ笑んだ。 「おっ、いいね。じゃあ、今夜、早速一緒にプレイしよう。準備できたらLINEしてよ」  隣の席で僕らの会話を聞いていた毛利さんが話しかけて来た。 「何を買うの?」 「VRゴーグルだよ」 「昨日、話してたやつ?」 「そうそう」 「そっか…」  毛利さんは、やはりゲームは興味なさそうだ。  予鈴が鳴り、始業式は体育館でやるので移動。  そこで校長の有難い長い話を聞き終えると、教室に戻る。  今日はホームルームだけなので、10時半頃には担任の話も終了し、放課となった。  さて、3学期は歴史研究部の部室には顔を出さない。今後は幽霊部員だ。  さらに雪乃が奴隷がどうとか言っているし、今日はVRゴーグルを買いに池袋に行こうと思っているので、さっさと下校してしまおうと考えて、カバンを持って立ち上がった。  一応、毛利さんに挨拶する。 「じゃあ、今日は用事があるから帰るね」 「え? 部室、行かないの?」 「行かない。じゃあね」  僕は短く答えて、さっさと教室を出て廊下を歩く。  ところが、階段を下りた下駄箱辺りで、背後から声を掛けられた。 「武田君」  振り向くと見知った男女2人が立っていた。
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