自室で睡眠中。
僕は体に重さを感じたので目を開けた。
すると目の前に、真帆が居たので、驚いて目を見開いた。
彼女は横になっている僕の上に覆いかぶさるようにして僕を見つめていた。
真帆の髪が僕の顔に掛かっている。そして、いい匂い。
さらに、真帆は下着のみの姿なのだ。
ちなみに、下着の色は白だ。
また、この夢か…。
もうワンパターン過ぎるだろ…、と思っていると。
「起きろー!!」
突然、妹の声が聞こえた。
「わっ!!」
僕は驚いて目が覚めた。
ベッドの横でセーラー服の妹が立っていた。
「ああ…、おはよう」
「もう、朝だよ! 起こしに来たんだよ! いつまで寝てるの?!」
「ああ…、すまないな」
僕は眼を擦りながら身を起こした。
「お兄ちゃん、今日もニヤつきながら寝てたよ。どうせ、Hな夢でも見てたんでしょ? キモ男」
「見てないよ。それより、キモ男ってなんやねん」
「キモイから、キモ男だよ。そんなことより、早く準備しなよ。私は、もう行くね」
そう言うと妹は中学に出かけて行った。
しかし、今日の夢は真帆か…。
最近は真帆と毎週会って、デートみたいになってるからな。
それに、郡山では僕の布団に潜り込んでいたし。
そういうこともあったので、僕は無意識に意識してしまっているのだろうか?
『無意識に意識』って…、何?
起き上がって、準備する。
朝食を取って、家から5分の雑司が谷高校に登校。
校舎に入り、げた箱で上履きに履き替えていると、元気よく挨拶してくる声。
「おお! 純也! おはよう!」
この声は雪乃だ。
彼女は今日もテンションが高い。
「おはよう」
僕は挨拶を返す。
「2本目のムービーの撮影はどう?」
「うん、順調だよ。じゃあ、後で」
雪乃はそう言って、颯爽と教室に向かって行った。
続いて僕に挨拶してくる聞きなれた声。
「武田君、おはよう」
毛利さんだ。
「おはよう」
僕は返事を返す。
「ねえ、掲示板の学校新聞、見た?」
「え? 見てないよ。なんで?」
僕が学校新聞を見るわけない。
「私の小説の連載が始まったから」
そうか、確か片倉先輩に頼まれて書いた小説というのを、以前、読ませてもらったよな。それが、学校新聞に掲載されるとか言ってたな。
掲示板はすぐそこだし、ちょっと見てみるか。
という訳で、僕と毛利さんは掲示板を見に行く。
学校新聞は毎月の月初に新しく張り出されているのだが、なんか久しぶりに見たな。
大見出しは、コーラス部について、何かの大会で3位だったとか。
他には、美術部、水泳部、山岳部の活動について。
松前先輩の占いコーナーもある。
あの片倉先輩たちが作っているとは思えないほどの真面目な内容だ。
紙面一番下の1段を使って毛利さんの小説が掲載されていた。
それを見てる毛利さん、ちょっと嬉しそう。
今後数ヶ月は、毛利さんの小説が載るらしい。
学校新聞の前に居ると、片倉先輩が通りかかり、声を掛けて来た。
「やあ、ご両人」
「あ、おはようございます」
「どうだい、今月の新聞の出来は?」
出来と言われてもなあ…。こういう物の感想を言うのは不得意だ。
でも、なんか言わないと…。
「えーと…。小説が良いですね」
「うん、小説は評判いいよ。毛利さん、いい作品をありがとう」
毛利さんは、自分の小説褒められて恥ずかしそうにしている。
「ところで」
片倉先輩は話題を変えた。
「例の怪文書の件だけど」
「あっ、はい」
「Xに投稿したおかげで、情報が集まって来てるよ」
「おお! それは良かった」
「意外にもDMの数がちょっと多いので、1つ1つ内容を精査しないといけないけどね。よかったら、手伝ってくれないかな?」
「はい、いいですよ」
「じゃあ、今日の放課後、新聞部の部室まで来てよ」
「わかりました」
ちょっと、面白いことになって来たな。
「じゃあ」
そう言うと、片倉先輩は去って行った。
「怪文書ってなに?」
毛利さんが尋ねてきた。
毛利さんは怪文書のこと知らなかったっけ?
「生徒会に届いた謎の文章で、いま片倉先輩に協力してもらって、その謎を解いているんだよ」
「ふーん。今度、見てみたい」
「片倉先輩のXに写真が上がってるよ。見てみたら?」
「うん。後で見てみる」
僕らは、話もほどほどに教室に向かった。
教室で席に着くと、イケメン幼馴染みの悠斗が話しかけて来た。
「純也、おはよう」
「ああ、おはよう」
「日曜の夜に時間があったら、いつものVRゲームやらない? その時、一雄も参加するから、パーティー組んで一緒にやろう」
以前、合コンで一緒になった六角一雄君とは初めて一緒にプレイすることになるな。
悠斗たちとは、彼らがサッカー部のほうが忙しいのと、僕も何かと予定があって、最近は一緒にはゲームをやってなかったので久しぶりだ。
ちょっと楽しみだ。
「わかった、いいよ」
「詳細は、前日にでもLINEで連絡とり合おう」
悠斗はそう言って自分の席に戻って行った。
楽しそうにしている僕が気になってか、隣の席の毛利さんが尋ねて来た。
「VRゲームって、そんなに面白いの?」
「面白いと思うよ。毛利さんもやる?」
「うーん…」
毛利さんは、考え込む。
僕は、一応、提案しておく。
「今度、僕の家に来る機会があったら、VRゴーグルを貸すから、ちょっとだけやってみたら?」
「う、うん」
やっぱり、毛利さんは、ゲームは興味なさそうだな。
そして、始業のチャイムが鳴ったので、そこで話を打ち切った。