雑司ヶ谷高校 執筆部
岩村城(日本100名城 No.38)
 お城巡りの朝は早い。  朝6時、今回は珍しく池袋ではなく、東京駅八重洲北口の改札前に集合となっている。  今日は、僕ら歴史研の4人はもちろんのこと、名古屋のライブに出演するため今回は、O.M.G.の3人に “春日局”こと徳川さんも参加するというので、一緒に行動することになった。  なので、合計8人の大所帯での移動となっている。  移動は、JR東海ツアーズの企画商品“ぷらっとこだま”を使う。  これは、新幹線の “こだま”を使って、名古屋まで8,880円と安く移動できる企画商品。  伊達先輩が、あらかじめその予約を入れておいてくれたので、きっぷ自販機で引き換える。  注意が必要なのは、通常のきっぷであれば、万一乗り遅れても後続の新幹線に乗ることができるが、“ぷらっとこだま”それができない。  だから、今回は遅刻する訳にいかなかない。  そんな心配もよそに、無事に全員が時間どおりに集合した。  初対面の歴史研のメンバーと徳川さんは簡単にあいさつと自己紹介をする。  それが終わると、ホームに移動。無事に6時30分発の新幹線こだま号に乗って移動開始。  座席は3人掛けの座席に歴史研の女子3人、同じく3人掛けにO.M.G.の3人。  僕はと言うと、徳川さんと2人席に並んで座る形になってしまった。  徳川さんとは、まだ慣れないからちょっと緊張するな…。  しかし、僕らは朝が早かったので、徳川さんと少し話をしたら、2人ともすぐに眠ってしまった。    9時6分には名古屋駅に到着。  僕だけでなく他のみんなも、新幹線の中で爆睡したようだ。  そんなこんなで、一旦駅を出て荷物をロッカーに預ける。  そして、通常のきっぷを購入して在来線に乗り換え再び移動開始。  名古屋~恵那まではJRで1時間10分ほど、恵那~岩村は明知鉄道を利用して約30分。  明知鉄道は1両編成のローカルな路線。  のどかな風景の中、のんびり進んで岩村駅に到着。  ここから歩きとなる。  岩村城は、先日訪問した奈良県の高取城。岡山県の備中松山城と並んで日本三大山城と呼ばれている。  ということは登山確定か。  駅から進むと、昔の城下町の街並みが残っており。  風情のある光景が広がる。  街を進んで、すこし坂道を進むと“表御門”と“太鼓櫓”があった。  ここは、廃城後も藩主邸は残っていたが、1881年に火災で焼失。  そこに1972年に岩村歴史資料館が開館。 “表御門”と“太鼓櫓”は、1990年に木造復元された。  さらに進んで、いよいよ登山。  僕ら7人は、途中休憩を入れながら山道を進む。  あまり慣れてないO.M.G.と徳川さんは、だいぶ息を切らせながら歩いている。これで、夜のライブは大丈夫なんだろうか? 僕は気にしつつも、一行は、さらに登る。  そして、なんとか岩村城跡に到着した。  岩村城。  鎌倉時代に遠山景朝によって築城。戦国時代末期に本格的な城山として構築されていったとみられる。  織田信長の叔母にあたる、おんな城主「おつや」が善政を敷いたと言われることから「女城主の里」と呼ばれている。  1873年の廃城令により、城は解体され石垣のみとなる。  ベンチに座って休憩した後、天守台跡からの望める景色も十分に堪能したら、一行は名古屋に戻る。  再び岩村~恵那~名古屋と移動。  荷物をロッカーから取り出してライブハウスへ。  ライブハウスは、地下鉄の栄駅の近く。  栄駅で、歴史研の女子メンバーはホテルへ。O.M.G.と徳川さんと僕はライブハウスへ。  出演時間が遅めだったので、楽勝で到着。  はじめてのライブハウスだったが、大きなトラブルなくパフォーマンスを終えた。  名古屋では初ライブだったので、物販でも新作の写真集をはじめ他のチェキや他のグッズもかなり売り上って、僕らは満足してライブハウスを後にした。  そして、伊達先輩が予約しておいてくれたホテルへと向かう。  ライブハウスからさほど遠くない場所にあるホテルは、以前名古屋城を見に来た時に泊まったホテルと同じホテルだ。  ここには8ヶ月ぶりの訪問か、ちょっと懐かしい。  僕は先にチェックインしている伊達先輩からLINEで部屋番号を聞いてその部屋を訪れた。  かなり大きく豪華な部屋。  見回すと、ベッドのある部分とは別に畳が敷かれてあるところもあり和洋折衷。  大きなベッドに歴史研のメンバー3人が寝転んだりして、くつろいでいる。  僕は驚いて尋ねた。 「こんないい部屋、良く予約できましたね。お金、大丈夫なんですか?」 「そんなに高くないから。大丈夫よ」  伊達先輩は微笑んで答えた。  本当なのか?  しかし、こんな部屋に泊まれるとは、ちょっと嬉しいな。 「じゃあ、武田君の部屋のカードキーよ」  そう言って、伊達先輩はカードを手渡してきた。 「え?」 「武田君だけは別の部屋よ」 「え…? そうなんですね…」 「ひとりのほうがいいでしょ?」  まあ、確かに女子7人に囲まれているよりかは落ち着けるけど…。 「一応さあ」  上杉先輩が付け加える。 「キミの部屋の鍵の予備は、アタシが持っているから。なんかあった時のために」 「なんかあった時って、なんですか?」 「キミが寝坊して、起きて来なかった場合とかだよ」 「え? ああ…、まあ、そうですね」  そんな会話もほどほどに、お城巡りとライブの立ち合いで疲れたので、僕はもらったカードキーの部屋に向かう。  階が別でエレベーターで移動。  部屋番号を確認して、扉を開ける。  中はさほど大きくないシングルの部屋。  女子たちの部屋とはだいぶ格差があるな…。  まあ、しょうがないか。  明日も早いので、シャワーを浴びてさっさと寝ることにした。  =================================  岩村城の情報  http://onna-jyoushu.iwamura.jp/
ギフト
0