アカネクエスト
訪問者 7
「僕はアレク・シアン。このまちに住んでいるあにと連絡がつかなくなったので、様子ようすを見にきました。でも兄のいえに行くには魔法使いのつえが必要だと、そこの——ジョージさんに聞いて、知り合いの魔法使いを紹介してもらうところでした」 「? なぜ、杖が?」 「兄の家は北の森の中にあるらしいんですけど、入れなくて」 「ああ! あの森に。  そう言えば、森でお薬を作っているお友達がいると先生から聞いたことがあります。たしか……フリードさん?」 「はい。兄のことです」  サリーはふむふむとうなずいた。 「それで先生に会いにきたんですね。ごめんなさい、留守で」 「い、いえ。こちらこそ急に来てすみません。それでその、所長しょちょうさんはいつ戻ってくるんですか?」  アレクがそう言った途端とたん、サリーの表情がくもった。  彼女は至極しごく申し訳なさそうに言葉をつむぐ。 「……ごめんなさい。わからないんです。出かけて四ヶ月以上つのでそろそろ帰ってくるはずなんですけど……」 「え? そんなに?」  ジョージが指先で前髪をもてあそびながら口をはさんできた。 「帰郷ききょうしてるんだったね。随分長引いてるじゃないか。きみは留守を任されてるの?」  サリーがこくりと首を縦に振る。 「俺としては、俺達に敵意を持っていない魔法使いなら誰でもいいんだ。今すぐ君が同行してくれたら助かるんだけど、どうだい? アレクもそれで構わないだろ?」 「……そうですね。サリーさんが一緒に来てくれたら助かります」 「それは……」  サリーは視線を足元に落として考え込んでしまった。 (いきなり知らない男にたのごとをされても困るよな。ジョージさんともそんなにしたしくなさそうだし)  アレクはジョージに顔を向けた。 「ほかに当てはないんですか?」 「ない! 彼女に招待状を申請してもらったとしても、発行して手元に届くまで一週間くらいかかるはずだ。行くならなるべく早い方がいい」  アレクはふと、違和感を覚えた。 「……ジョージさんは、いそいでいるんですか?  確かに僕は、兄の家の他に泊まる当てがないので、早いほうが助かりますけど」  ジョージはいぶかしげなアレクの顔を見つめ返しながら、ゆっくりと腕を組んだ。言葉を選んでいるのだろう。 「……まだ言ってなかったけど、実は一ヶ月くらい前にフリードに会ってるんだ。その時にちょっとした行き違いがあってね。いくら手紙を書いても返してくれないから、たまに森の前まで様子を見に行ってたんだけど、俺が最後に会った日から一度も街に出てきた様子がないんだよ」 「一度も? 確かですか?」 「森の前にレストランがあっただろう? そこの主人に聞いてみたけど、フリードも、あいつが使ってるゴーレムも、一度も見てないってさ。だから少なくとも店が営業してる時間には出てきてないってことだ。自給自足にも限界があるだろう? 会った時から随分やつれていたから、もしかしたら弱って動けないのかもしれない。  ……どうだい? 心配になってきたんじゃないか?」  言わずもがなだった。アレクの眉間にみるみるシワが増えていく。