綾鷹工房
3章(pokemonGO・日本刀・夏祭り)
「お金の心配はなさそうだけど…これからどうしよう?」 ファンタジーな世界にテンションが上がっていた高梨めいだったが 温泉でほっとしたのか、今後の事が気になっていた。 「私はこの世界で生きてくよ。学校も無いし、うるさい親もいないし、それに温泉も気持ちいい…」 駄目だ!えくすこたんは完全に温泉で不抜けている! 「元の世界に戻る方法を探そうよ!私の親、町内会の《夏祭り》実行委員の準備で夜居ない事多いから、弟たちのご飯とか作らなきゃいけないし!!」 真面目かよ!と、えこすこは心の中で突っ込みつつ考えた。 確かに、元の世界にはコインから日本円に換金した貯金も多く残っている。 それを捨てるのはみすみす惜しかった。 「うーん、怠いけど探すか…戻る方法。スマホの充電も残り少ないし」 「そうだね。私もカフェで《pokemonGO》やってて充電なくなっちゃった!」 温泉で疲れを癒し、宿で一泊した翌日。 情報が多く飛び交うという[冒険者ギルド]へやって来た。 「ようこそ冒険者ギルドへ!お姉さん方は初めての方ですニャ?」 ギルドへ入ってすぐ、変わった模様をした猫が話しかけてきた。 猫が喋るなんてさすが異世界。 「私たち別の世界から来たんだけど、帰る方法知らない?」 ボリボリとドッグフードを食べながら要点だけを尋ねるえくすこたん。 「えくすこたん…人にモノを聞く態度じゃないよ(相手は猫だけど…)」 めいが突っ込む。温泉で裸の付き合いをしたせいか、すっかり2人は打ち解けていた。 「お姉さんも別世界から迷い込んだニャ!?…そんな人をずっと待ってたニャ!!!」 その猫はカリバーと名乗った。1年程前にこの世界にやってきたらしい。 人の言葉が喋れる特殊能力を得て、 冒険者ギルドで働きながら同じ境遇の人間を探していたそうだ。 「なるほど。空の覇者って言われている、そのモンスターを倒せば元の世界に帰れるアイテムが手に入るんだね!」 「そうニャ。あといい加減僕を撫で回すのはやめるニャ!」 えくすこたんは猫が好きらしい。カリバーを抱いてモフモフしている。 「でも…モンスターなんて倒せるの…?」 めいが不安そうに聞く。何でえくすこたんは余裕そうなのか不思議だ。 「僕がこの世界に来て喋れるようになったから、2人も何か特殊能力がある筈だニャ」 ヒラリと、えくすこたんの呪縛から抜け出したカリバーが、本を背に乗せ戻ってきた。 「この冒険者の書に手をかざせば、ステータスが分かるニャ」 わぁ!RPGみたいだいねとJK達のテンションが上がる。 「じゃあまずは私からいい…?」 めいが本に手をかざすと、白紙のページに文字が現れた。 「めいのレベル、高いね!特殊能力は…[侍の心得]?何これ?」 「レア特殊能力だニャ!《日本刀》を装備すると攻撃力が2倍になるニャ!」 剣道やってるからかな?と笑うめい。謙遜しているが何だか頼もしく見える。 「さ!えくすこも調べてみるニャ!」 「ふふん!私はね!きっともっと凄い特殊能力だよ!!!」 その自信はどこから来るのか分からないが、えくすこたんは気合十分だ。 「……」 「………あれ?特殊能力のとこ空白だね…?」 レベルも低い。確かに見た感じ、えくすこたんは運動とか出来そうにないが。 「ぐすっ……EXCが使えるから私の為の世界だと思ったのに…」 いじけるえくすこたんをカリバーが慌ててフォローする。 「だ大丈夫ニャ!きっと戦いの中で開花するタイプかもしれないニャ!」 「え、えくすこたんには十分な資金があるよぉ!!」 こうして女子高生2人と猫のパーティが誕生し、 元の世界へ戻るための最終章が始まるのだった。 「いざ打倒!すかいえくすこぴょん!!!」
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