花瓶の水を全て捨てたら花はどうなるのだろうか
私を生かすこの魔法が水で、私が花だったら
きっと私は花瓶という世界から消えてなくなるだろう
切り花の様な弱い私には魔法という水が無ければ生きていけない
自然に咲く花の様に強くはなれない
だったら花瓶の世界から出て、魔法も何もかも捨てて誰も私を知らない、気にしない世界へ逃げてしまえばいい
「逃げてたどり着いたその世界は、幸せか絶望か」
「それとも何も無いか」
「幸せと絶望はいつもすぐそばに居る、それは目に見えないだけで誰にでも起こりうる解けない呪いだ」
「でも私は、何も無い世界に行くより、幸せなのか絶望なのか分からない世界へ行くよ」
「今まで通りの何も無い生活をするなら、星の瞬きの様な幸せに賭けたい」
「いつかその賭けに勝ったら私は自然に咲く花の様になれるかな」
「本当に死に急ぐのなら僕が連れ出しますよ」
「うん、必ず何も無いこの花瓶の世界から連れ出してね」
「はい」
『魔法が無い君は世界から見たら枯れた花の様なんだろう、でも僕から見れば枯れていても、花だという事実だけが残る、美しい君のままだ』