奴が消えた後…
酒場でよ、覇龍を見た…ってよ。
一人騒いでた狩人がいたんだ。
ただのハッタリかと思ったんだがよお…
少し、話に聴き耳を立ててたんだ…
ビビッちまったぜ…
いきなり地面から出てきやがってな。
幸い、俺には気付いてなかったが…
珍しいからよ、隠れて見てたんだけどな。
背中によ…
何か変なもん張り付けてんだよ。
それな?
よ~く見たらよ、火竜の鎧だったぜ。
そんで、ちょうど腕部分の先に刀が刺さってたんだ。
あれは分かる。
斬破刀は憧れだしなあ…
しかも、鬼の字が掘ってあったからよお。
鎧も溶けかけて…
あの狩人…今でもよ…
死んでも張り付いてんだ…
何か…
何かよ…
すげえ執念を感じたよ…
奴は俺に、自分の無念さを伝えに来たんだろうな。
飲んだくれだった奴の装備は…
火竜の鎧だったよ。
背中に鬼の字の斬破刀背負ってた。
ああ…
確かにな…