シ…シロ…
狩人は体を引きずり、シロに覆い被さりました…
お…俺が守ってやるからな…
狩人が引きずる音に獅子はまた逆上し…
シロに被さる狩人を殴り続けました。
何時間も…何時間も…
狩人はそれでも堪え続けました。
どれくらい経ったのか…
獅子はもう飽きたんでしょう、山の奥へと消えて行きました。
まともな骨など、もう無く…
内臓はほとんど破裂して…
グシャグシャの体はもう動く事はありませんでした。
ヒュー…ヒュー…
呼吸が出来ない中、かすかに見えるシロの顔を眺めながら…
は…ははは…
お前はよ…よくケガする馬だなあ…
死に際まで…
自分の最期まで心配するそんな言葉が伝わってきそうな…
そして、親が自分の子供を見守るかのように…
ニコッとして死んで行きました。
気を失っていたシロは、狩人に抱っこされながらやっと気が付きました。
顔をペロペロ…
いつもの挨拶…
大好きな狩人は何をしても笑って寝ているだけでした。
ヒヒィィーン!
今まで出した事のない声と…
涙を出しながら…
狩人の袋から少し出ていた、潰れた人参を大事にくわえ…
いつまでも、狩人の側から離れませんでした。
僕はこんな話を…
聞いたんです…