才蔵ちゃんねる
十話
あれから5年… 心も落ち着きを取り戻し、少し大人になった少女は、久しぶりに森へ行きました。 もちろん、いつも笛を吹いていた場所にも。 すると…ちょうど… 紫の龍が居たのです。 様子が違う… 少女は気付きました。 姿を消さないのです。 そしてもう一つ気付きました。 自分の笛に合わせて振っていた、大きな尻尾と… 印象に残る、透明の綺麗な角がありませんでした。 ズル……ズル… まるで大怪我をしたように、足を引きずり… 少し進んで… 龍はバタン…と… 寝てしまいました。 あ…あああ… 恐る恐るあの場所へ近付くと、自分が座ってたその場所に… 食いちぎった跡のある大きな尻尾と… 無理矢理折られた綺麗な角が置いてありました。 それは少女に対する… 霞龍の精一杯のお詫びでした… .
ギフト
0