あれから5年…
心も落ち着きを取り戻し、少し大人になった少女は、久しぶりに森へ行きました。
もちろん、いつも笛を吹いていた場所にも。
すると…ちょうど…
紫の龍が居たのです。
様子が違う…
少女は気付きました。
姿を消さないのです。
そしてもう一つ気付きました。
自分の笛に合わせて振っていた、大きな尻尾と…
印象に残る、透明の綺麗な角がありませんでした。
ズル……ズル…
まるで大怪我をしたように、足を引きずり…
少し進んで…
龍はバタン…と…
寝てしまいました。
あ…あああ…
恐る恐るあの場所へ近付くと、自分が座ってたその場所に…
食いちぎった跡のある大きな尻尾と…
無理矢理折られた綺麗な角が置いてありました。
それは少女に対する…
霞龍の精一杯のお詫びでした…
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