冷たい床の上で、トニーは虫の息じゃった。
さあ…殺せ…
ハア…ハア…
人間相手にしか、喧嘩出来ぬ者を殺した所で…
わしの剣の錆にもならぬ。
世界の大罪人など…
わしには居ても居なくとも…
どちらでも良い。
これはトニーには、本当に衝撃的な言葉じゃっただろう。
人を脅えさせ…
力で屈服させ…
その強さで、特別扱いされて…
今まで、そうやって生きて来ただけにな。
ここに来て、座ったままの年寄りに負け…
さらに飛んで来た蚊よりも気にされていないとはのう。
プライドで生きる、悪にとっては…
死ぬより辛い屈辱じゃろうなあ。
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