トニーは世界を回った。
およそ四割の街や村が、龍に殺られておった。
行く先、行く先、人間の破片ばかりで…
もう三年ほど、まともな人間と話す事がなかったくらいじゃ。
ある小さい村。
五分ほど前まで邪龍がそこにいた感じの…
潰されて間もない所に着いた。
ひでえもんだな…
昔の自分の悪さなど、小さい子供のいたずらに等しい…
そんな酷い現場ばかりに出くわす。
その時…
村の奥から、ピチャピチャと血だまりを歩いてくる子がおった。
みんな寝ちゃって起きないの。
指をくわえながら、その子はトニーに話しかけた。
よく見れば、服も何も…血で真っ赤じゃったよ…
もう起きねえよ。
残念だったな。
そうかあ…
ぼく、じゃあ一人でご飯作らないとね。
ああ。
そうだな。
えぐっ… えぐっ…
僕に作れるかなあ…
もうわかってんだろ。
ちびは泣きゃいいんだよ。
うわああああん!
えぐっ… うわああああああああん…
ち…仕方ねえ。
俺が楽園に連れていってやる。
聞いてるか?そこはな、楽しい所だぜ?
聞い……
な…なあ…おい…
ちょっと泣き過ぎだ…
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