男一人。
七尺三寸はあろうか。
黒光る、長い太刀を引きずり……
もう片方の手には…
男の行く道を防いだであろう、毒鳥竜の憐れな残骸を掴む。
怒りに満ち満ちた男の目の前には…
純白の魔王。
まるで、巣穴から這い出た鼠を見つけたかのように…
魔王は男を見下す。
鳥竜の亡き骸を放り投げ…
刀の鞘から垂れる、紫の紐を少しちぎり…
男は、その長く黒い髪を纏め上げた。
所々に散らす黒い毛髪は…
まるで秘め事を終わらせた夜鷹のように…
妖艶で…甘美な雰囲気を醸し出す。
そして、その細長い眼を魔王に移し…
面を仁王の如く、憤怒に溢れさせた……
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