グウウウウウゥゥオオオオォォアアァ……
天を裂く叫びが合図となり…
刹那、男は跳ぶ。
例えるなら、狂の一文字。
刀を縦横無尽に疾風らせる。
キン…キキキキキン…
キキキン…
魔王は、その強靭な鱗を盾とし…
余裕の表情を浮かべていた。
それがどうしたと言わんが如く、男は斬撃を繰り返し繰り返し……
火花はまるで花火のように、宙を飾り続ける。
ズウゥオオン…
少しずつ頭に刄が届き出し…
そのたびに、魔王の血が自身に降り懸かっていた。
弱みを握られ、魔王はやっと本気になる。
鼠ごときに。
その怒りであろうか、自身の不甲斐いなさか…
魔王は怒りを現わにし、その躯をほのかに紅く染めてゆく……
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