あの人は、上位の頃ね。
ここぞという狩りの時には…
鎌蟹から造った、綺麗な真っ青の鎧を纏いました。
でも、その時は必ず怪我をしてね。
だから私は、あの鎧を纏うあの人の姿が大嫌いでした。
鎧なんか意味ないじゃない!なんて…
当時はよく、八つ当たりをしたのを覚えています。
今思うとね。
あの鎧を纏っていたからなんですよね。
大事には至らない程度の怪我で済んでいたのは…
今はもう下層になって、鎧が必要な時も、纏う程の狩りもなくなったのに…
毎日埃を拭い、磨き上げるあの人。
そこでされると邪魔だと、邪見に言葉を吐いた事もありました。
ごめんごめん…
申し訳なさそうにはにかむ、あの人の顔。
私は一生、忘れられそうにありません…
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