冒険者ギルド(小説)
第76話【異次元宝物庫】
ドラゴン兄妹が山に飛び立ってから三日が過ぎた。 冒険者ギルドから報酬も貰いギルガメッシュさんから次の依頼を貰うために、のんびりと待つ日々が続いていた。 今回は依頼内容に関しては俺からも注文を出している。 それは冒険者らしいバトル溢れる過激な内容で、更に長期に渡る依頼を要求したのだ。 長期に渡ると言うのはスカル姉さんが診療所の二階を改装する間、俺が留守にしたいからだ。 俺が冒険中に改装して貰えば、俺が何処か別の部屋を間借りしなくても済む。 俺のわがままだが、一石二鳥である。 そのために依頼内容を吟味しているがために、なかなか次の仕事が決まらないでいた。 だから俺は暇な日々を送っている。 なのでグラブルから譲り受けたドラゴンルビーの指輪を使って、いろいろと実験をして見ることにした。 ドラゴンルビーの指輪の大体の能力は聞いている。 一つ。異次元宝物庫。 異次元にアイテムを収納できる。ただし無生物のみと言っていた。 二つ。盗難防止能力。 盗まれても念じれば帰ってくるそうな。 今まで何度かマジックアイテムを盗まれたり取られたりしたけれど、これなら大丈夫だ。 かなり安全なセーフティーシステムだよね。 三つ。盗んだ人を呪い殺す。 …………。 これは使う日が来ないことを祈ろう。 さてさて、では初収納と行きますか! 俺は愛用のショートソードを手に取る。 これは普通に店売りしていたショートソードだ。 万が一が有っても欲しくない代物で有る。 実験には丁度良いだろう。 俺は心の中で「収納」と呟いた。 すると眼前に不思議な黒い穴が現れる。 「穴だよね──」 直径10センチ程度の黒い穴が空中に現れたのだ。 裏を見てみると、二次元状の薄い穴である。 「ここに突っ込めばいいのかな?」 俺は穴に差し込むようにショートソードを突っ込んだ。 するとスルスルとショートソードが入って行った。 俺が手を離すと、まるで反対側で誰かが持っているように穴の中に入って行く。 そして、ショートソードが根元まで入ると黒い穴が閉じて消える。 「おお、入ったな!」 さて、取り出す時はどうするのかな? 基本は念じればいいのだろうから、俺はショートソードと念じてみた。 すると眼前に再び黒い穴が開いて中から誰かが差し出すようにショートソードの柄が突き出された。 そして俺がショートソードを手に取り引き抜くと、黒い穴はふさがり消える。 「なるほど、こう使うのか」 でも、黒い穴は直径10センチ程度だったぞ。 それ以上の大きさのアイテムは入れられないのかな? 穴の枠に引っ掛かるのかな? よし、試してみよう! このバトルアックスならサイズ的に10センチ以上あるから丁度良かろう。 俺は念じて異次元宝物庫の入り口を呼び出す。 また眼前に10センチぐらいの黒い穴が現れる。 俺はバトルアックスの頭から収納しようと試みた。 本来なら入らないサイズだが、自動で穴が大きさを変えてバトルアックスを招き入れた。 バトルアックスのサイズでもすんなりと入る。 なるほど、バトルアックス程度なら難なく入るのね。 ならばと俺は、ベットの横に置いてあった椅子を手に取った。 これはバトルアックスより大きいから入るかな? 実験、実験、実験! 入ったーーー!! 椅子も入りましたよ!! これなら結構なサイズまで入るんじゃあ無いのかな? 次、ベットでも行ってみるか!? うーーーん!! だ、駄目だ……。 ベットが持ち上がらんわ……。 持ち上がらない物は収納は無理か……。 てか、中はどうなってるんだろう? 収納できるのは無生物だけって言ってたけど、なんでかな? ちょっと椅子を取り出すふりをして、中に頭を突っ込んでみよう! そして俺は作戦通り椅子を取り出すふりをして頭を穴の中に突っ込んでみた。 あれー、薄暗いけど真っ暗ってわけではない。 んん? 何か見えるぞ? 椅子を支えている物が見える。 物じゃあないな……。 椅子を支えている者だわ!! こわ!! なに、これ!? 死霊かな!? すっごいヤバそうな人が椅子を支えているよ!! ん、んん!! こ、呼吸ができないぞ!! 俺は即座に頭を引っこ抜いた。 「ぜえはー、ぜえはー……」 どうやら穴の中は無酸素状態らしい。 だから無生物は駄目なのか。 それに温度も変化しない。入れた直後の状態が保たれるらしいから、いろいろと生物だと問題あるのだろう。 まあ、分かったことは、中の人が俺の思念を感じ取って、中のアイテムを手渡しで出してくれてるってわけだ。 だから余り大きな物や重い物は無理だよね。 まさか労働者が入っていたとは……。 ご苦労だな……。 労働者に感謝しながら使わないとね。 でも、だいぶドラゴンルビーの指輪の使い方と原理が分かったわ。 【つづく】
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