頭のおかしい作品を投稿するやべーサークル
第6話:えちち! 熱源感知装置!
 「あそこ……街、なんだろうけど」  操縦桿を片手に、繋はどこか不安げな呟く。  「明らかに……“煙”、出てるよね」  ついでに言えば、明らかに家らしいものが見えない。それどころか焼け跡みたいなのが見えるんですけど。まさか火事だったりする? ……いや、気のせいか。うん、ソウニチガイナイネ! だって、火事が放置されるわけないもん!  ……いや、でももし本当にそうなら、GPSで唯一見つけた街が燃えてましたって事に……そんな結末、あーもう嫌になりますよ!  「と、とりあえず近づかないことには、わからない……かな」  『まぁあそこに着いたらなんかわかるでしょ』とか言う明らかな楽観視と少々の不安を抱えつつ、飛行を続ける。  _数分後  時は経過し、数分後。繋の駆る『Ka-50』は、GPS上で発見した“街かもしれない何か”のすぐそこまで差し迫っていた。  それと同時に、繋の目には、信じがたい光景が写っていた。  「……えーっと、嘘でしょ、これ」  空から見えるもといえば、明らかに砲撃されたかのように感じさせる、幾つものクレーターが刻まれた未舗装の道路。そして、それに沿って建てられたのであろう焼け焦げた家屋らしきもの。また、どこか古臭さを感じさせる無人のトラックがあちこちに複数台停車していたり、“街らしきもの”の外れには深緑色のテントがいくつも立ち並んでいる。  遠くから見えていた“煙”もどうやらここがその発生源のようで、その証拠に、先述のテント群の近くで明らかに『煙出してまーす』と言わんばかりに、巨大な炎が上がっている。……あれ何燃やしてるの? すっごい燃えてるんだけど。  「一体ここで何が……?」  ここで何が起きたんだろうなぁとか考えつつ、“街らしきもの”の周りをぐるりと一度旋回する。  繋は本来、人と出会うためにここまで飛んできたわけだが、見た限り、ここに人気ひとけは感じられない。何故家の燃えかすらしきものがあるんだとか、不整地の道路に何でクレーターあるんだとか色々聞きたいことはある。だが、トラックやテントがあるにも関わらず人が居ないと言うのは不自然。例え出かけていたとしても誰かは必ずここに残っているだろうし、もしテントの中に人がいるなら、例え寝ていたとしてもこの轟音で気付きそうなものだが……。  「……一応、サーマルF L I R*で一通り確認してみようかな?」  赤外線を用いて何か生物がいるか確認しておこうと言う算段で、操縦桿を左に対して、『Ka-50』を“街らしきもの”から距離を取る。  “街らしきもの”の方向に機首を据えると、先ほどGPSを見るのに利用したディスプレイをまたまた操作。設定を変更して、サーマルモードに切り替えた。繋は操縦桿を掴む手は離さずに、ディスプレイに顔を近づける。  「んーと、どれどれ……?」  サーマルカメラを“街のようなもの”に向けて、ゆっくりと右から左へと動かす。  ディスプレイは、ゆっくりと黒色のドラム缶や木箱、トラックにぼんやりと白色に光るテント……ん、待て?  「……???」  繋の脳内で:thinking:の顔文字が激しく四方八方に飛び回る。なんだこれ。白色のテント?  サーマルにおいて、赤外線の強弱は白黒で表示される。そして、その赤外線を多かれ少なかれちゃんと出すものといえば、人を含む生物や、炎。もちろんその他の物も赤外線を少なかれ発生させているが、生物が発するそれに比べれば微量。そう考えるとただのテントそのものが、周囲よりも目立って赤外線を飛ばすとは考えられず、おそらく“中にある何か”が赤外線を発生させているのだろう、と踏む。  と言うことは、何か熱源を発生させるもの……人が密集しているか、はたまた何か火事でも……いや、ないか。とにかく、周りと比べて白色に光っているのは事実。それが一つ二つ……“街らしきもの”に存在する、ほぼ全てのテントに見受けられることから、ただの表示バグではないのだろう……違うよね?  「……人、なのかな?」  確証はないが、どこかそんな感じはする。まぁ、それだとテントで引きこもりNEETする理由は考えられないのだが。うーん……引きこもNEETする理由なんてないと思うんだけどなぁ!? ただのヘリコプターガチムチ攻撃ヘリに乗ってるだけなんですが!  ま、まぁとりあえず、だ。現在までの出来事を整理すれば、『“なんか街みたいな何か”に着いた!』、『なんやこれ!燃えカスやんけ! 人すら居ねぇ!』、『サーマルで確認……なんかテントの中にいる?』……と言った感じの流れになる。この間ずっと周囲を飛行していたにも関わらず、おそらくテントにいるのであろう“何か”は、一切その中から出て来ることはなかった。もちろん、テントの中にいるものが“人ではない、何か熱源を発する物”と言う可能性は十二分にあるが……。  そこまで色々考えても、この“街のようなもの”の状況は、どうにも腑に落ちない。何かが焼け落ち、今も現在進行形で炎が燃え盛っているにもかかわらず、そこに人は一人も居ない……。  ……こんな状況、何が起きるかわかりませんね! ハイ! と言うことは、判別する方法は一つ! そう——  「……撃とうか!」  あっ、そっちね。てっきりヘリから降りて一つ一つ虱潰しらみつぶしに探すと……って、は? え、撃つの?  繋はそんな誰かの声を全く耳に貸すことなく無視し、機体右下の30mm機関砲を操作。その照準を一番右端のテント……ではなく、その2mほど手前に向ける。  「へっへっへ……」  繋はやけににっこりした顔マジキチスマイルで、トリガーを強く握り込む。  内心で『これを押したら法律破ったよって言われて投獄されそうだなぁ怖いなぁ』とかそんなことは一切考えず——  「ポチッ!」  その擬音語とともに、なんの躊躇ちゅうちょもなく30mm機関砲の発射スイッチを力強く押し込んだのだった。  ______  ツイッターでアカウントを新造した。小説の進捗を呟いたりしようと思います。  アカウントこ↑こ↓:https://twitter.com/ELDIAN18850378  アカウント画像とかは多分後々追加されます。  ポーランド国家好き。 *サーマルFLIR:簡単な話、物が放出する赤外線を感知して映像に表示させるもの。赤外線が強いものは白、弱いものは黒のどちらかで表示される。夜でも朝でもバリバリ見えるから便利。あんなことやこんなことがいっぱい見えてムフf(殴  日常ではなんかこう……色々使われます(語彙力の壁崩壊)。
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