なあ。
お前は、さっきから愛だ愛だと喧しいが…
誰かを愛した事はあるのか?
失礼ですわ!
猫の分際で…
食べちゃおうかしら…
私は生涯…
いえ、もう死ぬなんていう下等な事は出来ない身体ですけど…
未来永劫…あの方だけ…
リリスの旦那だな。
そう…
あの方。
私は、あの方に命を助けられ…
この心を奪われた。
あの方は何とも思ってないですわ。私の事なんて。
ただの犬くらいでしょうね。
このただの犬が…
あんな綺麗なリリス様に勝てる訳がない。
不倫なんて、夢のまた夢ですわ…
だから…
人間の行為に憧れますの。
分かりやすい奴だな、お前は。
では…
こんな話を聞かせてやろう。
その前に言っておくがな。
俺は、こいつじゃない。
眼が見えないのは事実だが、俺は話せる。
だが、こっちの猫は話はしないだろう。
そりゃ、こいつの勝手だ。
ほっときゃいい。
こいつはこいつ。
俺は、俺だ。