異世界転…生?
何ということもない普通の人。
何の特技もない大学に出て普通の商社に入り
一人暮らしで、彼女も居ない24歳普通のサラリーマン。
でも、俺には秘密がある。
「はぁ…なんでこんなに騎士はかっこいいんだぁぁぁぁ!」
本を持ちながら、にやにやして一人で叫んでいた。そうだ俺は騎士系アニメのオタクだ。
しかし現実、魔物は出ないし剣を振るうと銃刀法違反で捕まるしなんだよ全く。
途方に暮れたような顔で俺は喋っていた。
ーーそして朝日が登り、鳥達が泣き出したころーー
アラームの音が部屋中に鳴り響く。
「んん…ふぁぁぁ…眠い…会社に行く準備しなきゃ」
そして俺は、スーツに着替え身だしなみを整え玄関のドアノブに手をかけ歩き出し
「行ってきます。」
と呟いた後、俺は財布から鍵を出し家の鍵を閉めまた歩き出した。
「せんぱぁぁい!せんぱーーーい」
歩いていたら遠くの方から俺のことを呼ぶ声が聴こて来ると
俺は、その声の方向に振り向いた。
黒髪のイケメンが大声を出しながら走ってこっちに向かって来る。
「振り向けばあなた!とはこーゆーことか…」
「おはようございます!照久先輩!って何か言いました?」
大声を出しながら眩しい笑顔で若者は言う。
毎日毎日こいつは朝から元気だなぁ。
「なにも言ってねぇーよ!おはようさん近藤」
俺は顔を手で押さえ、ため息をついた後近藤に
挨拶をする。
「はぁ…」
「照久先輩どーしたんですか?ため息なんかついてでも先輩の事なら僕何でも分かります!どーせ、朝までアニメ見てたとか
そんなんでしょ先輩の場合は!はぁ…その前に彼女を一人や二人作ったらどーですか?」
近藤は分かりきった様な態度でそう言うと
近藤 武蔵は、俺の一つ年下で俺の秘密を知っている唯一の友人であり理解者だ。
しかしだ!いつも俺をからかってきた。
幼稚な悪戯を(肩を叩いてきて指を突き出し、振り向いたら顔に指が当たる)
毎回仕掛けてくるのがこいつだ!
そして近藤は決まってこう言うんだ。
(隙がありすぎですよ先輩)と言い笑ってきやがる。
でも、なんやかんやで俺を色々助けてくれる。
俺が朝まで仕事の残業の時は、手伝います先輩!と言い、終わるまで付き合ってくれたり。する。
うざいが根はいいやつ。それがこの近藤だ!
「うるせぇ!ほっとけ。お前も彼女いねぇだろ?」
俺は図星を突かれ、からかっていた近藤に対して、言い返した。
「あ!そーでした!あ…やべ!いけねぇ。もーこんな時間だ!先輩!早く会社に行きましょう!」
近藤とこんな話しをして、いつもより早歩きで歩いていると、会社の近くのいつも通るコンビニが見えてくると
「あ、先輩先輩!お昼ご飯を買ってから会社に行くので先に行ってて下さい!」
「おう!」
そして、近藤は笑顔で手を振ってコンビニに入って
行き、俺も手を振り返し歩き出す
「近藤は、本当に元気だよなぁ。
しかも何で、あいつのほうが騎士みたいな名前なんだよ。
近藤のくせにムカつくっ!はぁ…なんかいい事ないかなぁ。」
俺は俯きながら、独り言を呟いて、ため息を漏らし、下を向いて歩いていると車の警音器の様な音が鳴り、顔をあげて見ると目の前に少女が立っていた。
目の前で少女がトラックに惹かれようといる。
「あ!危ないッ!」
俺の足は勝手に動き
少女は照久によって突き飛ばされ
俺は車に引かれる瞬間、初めて走馬灯を見る
そこには、草が生い茂り広大な草原広がっている。
そして、見たこともない一人の赤髪でスラッとして目は綺麗な赤色の美少女が映っている。
「いかないで!」
あ、少女が泣いている…って誰だ?
「ごめん…それはできない。アリステラ」
あれ?こーゆー時、お母さんの顔とか、思い出の顔とかを思い出すんじゃないのか?
しかも、アリステラって誰だ?アニメとかでも聞いた事もないし…
そして俺は、ぶつかった衝撃音と共に瞬間的な激痛を感じる。
「大丈夫ですか!?意識はあるぞ!誰か!早く救急者を呼んで!」
痛い。俺は、意識が朦朧としている中で、通りすがりの人がそう言っている人の声が聞こえて、大きな音を鳴らしながら救急者が来た。
「大丈夫ですか?すぐに病院に連れて行きますので気を確かに持ってて下さいね!」
救急隊員がそう言った後、救急車に乗せられた
そして俺は、身体中が冷たくなっていくのがわかった。
「お、お…俺はここで死ぬのか…はは!
いいキミだぜ全く!神様どうか俺に来世では剣術を教えてくれる人の側の前に居させて下さい!誰にも負けない力を俺に下さい!」
死ぬ直前までこんな事思うなんて、とんだ親泣かせだな。
そう思った俺は何故か笑っていた。
それは、死ぬ直前に俺が思った最後の想いになった。
ここは…どこだ?あ、そーか俺は死んだのか。
暗い…やっぱり死後の世界は暗いのか。
ん?おかしい…暖かい。
何故か息がある……ここは地獄なのか?天国なのか?まぁ。どっちみち死んだことには変わりないか…
何ということもない普通の人。
何の特技もなくて、俺はやりたい事もない。
普通の大学に入って、普通の会社に入り平凡な日常を送っていただけなのに…。
どーしてこなったんだ!まぁ、死んだ事は事実だしな。受け止めるか。
そーだな、生前は何もしてこなかったしな。
ロクな所に送られないだろうなぁ…。
しかし、変だな息がある…それかお腹すいたな…
あぁ…死ぬ前にお母さんの料理が食べたかったな。
………腹減ったなぁ。
っていうか、死後の世界も空腹というのがあるのか…
んん…何か聞こえる。
この音は鳥か?ん?まてよ…?音!?おかしい…
考えが混乱している中、俺に突如懐かしい良い匂いがしてきた。
そしてフライパン様な何かを打ちつける音が聞こえてきた。
んん、音が聞こえる!?
この匂いどこかで…そーか思い出した!母さんだ。
母さんの手料理の匂いだ!
って、あれ?匂い!?って事は俺は生きているのか?
気が動転ているのか俺にもわからない。でもこの懐かしさと切なさを思い出し、目から冷たい涙がこぼれ落ちて泣いていた。
「あれ、目から何か…そーか…お母さんが居るんだ!お母さん!」
何かを思い出したかの様に俺は、大声で言った後飛び上がって起きた。
俺は、涙を拭いて辺りを見回しそこには、見たこともない光景が目に映っていた。
「あれ?ここは…どこだ?そしてどーしてこんな所に俺はいるんだ?俺は確か…事故に遭って…死んだんじゃ…って何じゃこの体わぁぁ!こ、子供になってる!?」
びっくりした声でそう言うと、いきなり部屋の扉から大きな音を立てて扉が開いた。
「お!おい!大丈夫か!?」
見たこともない茶髪で肩幅がひろくて30歳ぐらいのイケメンが入ってきて、俺の事をびっくりした様な顔で見つめていた。
え、誰だ…この人…
「あ、いえ!すみません何でもありません。」
俺は、薄笑いを浮かべて見知らぬ人に言う。
「おいおい!悪い夢でも見たのか?なっさけない声あげて」
笑いながら俺の事を小馬鹿にする様な口調で言った。
な、なんだ、こいつムカつくな。
そー言えば何かこの感じに覚えが…
あぁ…思い出した…そーだ!近藤だ。
いやいや今は、そんな事考えてる場合じゃない
本当に誰なんだ?もしかしてお父さんなのか?
ええい!考えても仕方ない!
間違っていたら寝ぼけていた。で笑ってくれるだろう!いや、近藤だしそうに違いない。
「お、お父さん?」
俺は、勇気をめいいっぱい振り絞った様な言葉で言うと
「お、おう、な、なんだ?」
顔をコクリッと傾けて不思議そうな声で言う。
なんだよ!何なんだよ…。何処だよここ!
それに俺は誰なんだ?まさか…異世界転…生!?
いやいや、待て待てそんな事はないはずだ!
落ち着け俺……と考え込んでいたら
「アーロン!おい!アーロン!聞いてるのか?呼んだくせに返事しろ!アーロン」
「あっ!はい!聞いてます!すみません…」
え!?今、俺の事アーロンってゆったよな?俺の名前は、アーロンなのか?
そーか…やっぱり俺は、転生したのか…ならまずは情報を集めないとな…
俺は、徐々に冷静になっていく。
「おいおい…大丈夫かぁ?落ちてる草でも食べたんじゃねぇか?」
「い、いえ、大丈夫です!」
俺は、薄笑いをしながら言っていた。
「まぁ。元気ならなんでもいいけどよ!あんまり、根詰すぎるなよ!」
あぁ!もう!考え込んでも仕方ない!取り敢えずは
この世界で生きて行くしかないか!と決心をつけた後、下から女性の声が聞こえてくる。
「アーロン!あなた!そろそろ朝ご飯時間だから、顔を洗ってらっしゃぁい!」
「だっそうだぞ?アーロン、まずはお母さんの
言うことを聞くぞ!」
ゆわれたまま居間にいくと青い髪で毛先がちょっと唸った、とてつもない美女が居間で朝ご飯の支度をしているのが見えると、この人がお母さんか…とてつもない美女じゃねぇか!
ーーーーーーー外に出ると。
そこには、草木が生い茂り様々な動物が見えて、沢山の人々が見えた。
この時ここが異世界なのか…っと思い俺は、ずっとその景色を見据える。
しっかし……いい大人が抱っこされるなんて…
でも…何十年ぶりだろ…この暖かさは…懐かしいな。
そして俺は、バケツの前に座らされた。
ここは貧乏なのかな?水道もない井戸も無い
この家庭は貧乏なのだろうか?
そして父が、バケツの上に手を翳した。
「我を守りし天の大神よ我の手に水の…」
なんだ?顔を洗うのに儀式が必要なのか?ってバケツに水が入ってないじゃないか!
「お父様!バケツに水…」
水がないのを伝えようとした途端に手が、俺の頭の上に来ると
「え?」
「精霊を」
父は、ニヤッとしたその瞬間、凄い勢いで手のひらから水が全身に押し寄せる。
そして、全身を纏う服が水を含みぽちゃぽちゃと雫が垂れる
「ぷはぁ!何をするんですか!こ、こ、殺す気ですか!くしゅっ!うぅ…さっむ!」
「はっはっは、甘いな!アーロンよ隙がありすぎだ。」
笑いながら俺に言った。
本当に性格が近藤に似てやがる!全く!ムカつく。
しかし今のは、魔法なのか!?いきなり手から水が出てきたんだ魔法に違いない。
ここは、魔法の世界なのか!
そしてお父さんも顔を洗い、家にもどろうとした時
「あの言葉が、魔法ならあの言葉をゆえば発動するのかな?よし!やってみよう」
俺は今から、あいつに仕返しをしてやる!
そして俺は、復讐の笑みを浮かべて歩いている父に向かって手を広げ
「我を守りし天の大神よ我に水の精霊を」
「あ、なんだ?」
父が振り向いた途端父に大きな水の玉が向かっていき、大きな木を破壊して水の球が弾ける
「え?」
俺は呆然と立ちつくす。これが…魔法なのか。
「お父様!」
と叫んだ後!後ろから頭を誰かに殴られた様な鈍痛が走る。
「いってぇ!」
「こら!死ぬかと思ったぞ!しかしお前、あの魔力は一体なんなんだ…魔法の勉強とかした事ないお前になんで使えたんだよ!」
父は、強面で肩を掴み必死に問いただす。
「いえ、わかりません。お父様の言うた事を言ったら勝手に出てきました…」
「はぁ…これは、おったまげだ。いいか?アーロン!この魔法は誰にも使うな!使いたければもっと制御できる様になれ!男の約束だ!」
その真剣な顔つきは、親が叱り付けるような目だ。
「はい!わかりました…お父様ごめんなさい…」
俺は。しょんぼりした様な顔で言った後、父は笑顔になり頭を撫でると
「わかったならよし!しっかし…母さんにどー説明するかな?」
俺は、怒られる事がちょっぴり嬉しかった。
そして、家に戻り
「おかえ…二人とも何濡れてるの!?風邪を引くから二人とも!早く体を温めてらっしゃい!」
「は、はい!」
あれだけ強そうな父が震えていた。
俺は父のことを不思議そうに見ていると、母は笑っていた。
なんだ優しい人なんだなぁ。と思ってお風呂に向かう。
「コ ー ラ ム?あれほど顔を洗う時に派手な事はしないでって、いつも言ってるじゃない!」
「ご、ごめんって」
そー聞こえて、お母さんの顔を見て見ると鬼の形相をしていた…そして、父は後ずさる様に薄笑いをしながら謝っていた。
包丁を持ちながら、こっちを見て不吉な笑みを浮かべてアーロンを脅す様に
「ア ー ロ ン?早くお風呂…ね?」
「ご、ご、ごめんなさい!すぐ入ります!」
やっぱりこわいな…と母親の実感を改めて感じる
それを見た俺は、無意識に俺もあとづさる様に薄ら笑いをして急いで風呂に入る。
そしてお風呂に入っていると、こんな声が聞こえてきた。
「お、お母さん…は、話が…」
「なに?」
「あのー庭を見て欲しいんだけど?」
そこは、ダメだ…まずいことになるぞ。
俺は、そー思い、入れてくれていたお湯にそっと、顔をうずくめてブクブクと息をする。
「あら!貴方からの散歩デートの話なんて珍しいわね!だったら早く風呂に入っていきましょ?」
「いや、そーじゃなくて…俺の魔法がミスったというかその…」
ごめんなさいお父さん…と思いながら、俺は今の状況を察する。
そして、庇ってくれて…お父さんありがとう。
「なによ!焦ったい!」
「あ、いやその…」
と扉の開ける音が聞こえて来ると
地面が揺れ動き、雷の音が聞こえてきた。
それから、この日に父を見る事はなかった…
俺が朝ご飯を食べ終えて、お母さんの手伝いも終わって
お母さんは買い物に出かけた。
俺は、特に何もしないままごろごろしていると
俺はいつの間にか寝ていると、夢を見ていた。
俺の目の前には綺麗な少女がいる
後ろには、枯れた花々や枯れ果てた木があり、豊かな森とは言い難い光景が広がっていた
「ダメよ!いかないで」
このシーンどこかで…
「アリステラ…ごめんそれはできない。」
「どーしてなの?また私一人になっちゃう!」
「ごめん…でも戻ってきたら…」
そこで俺は、目を覚ました。
あれ何だっかな、この話しどこかで…んん思い出せない…まぁ、後々思いだすだろう。