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NOT NEUT
2018年10月30日 13:44
投稿カテゴリ : 記事

0<1

1と0の複合した電子の海底で人々は生きていた。

その人の創った世界こそが意味を持つそんな世界に人は歓喜した。

意味のわからぬ世界から、人間が創り出した意味があることしかない世界への

インポートを誰も拒絶しなかった。

そして通貨はその世界を指し示していた。

その世界の中で、稀な通貨価値を持たぬ少女は一人歩いていた。

「う……う……」

もう何日も栄養を摂取していないのか、所々が消えかかっていた。

ちなみに、人々は一定期間、電子交換をしないと電子クズとなり、この電子の海の

一部となってしまう。

彼女の意識は朦朧とし、世界はぼやけ、電子頭痛は激しく、もう生も途切れそうだった。

その少女の視界も緑色から赤色になり黒くなった時、少女は死を受けいれていた。

そこに声が聞こえた。天使の声でも悪魔の声でもなく電子音声が頭脳に駆け抜けた。

「おい、大丈夫か。いまディバイドしてる最中だ。そっちに俺の腕をくれてやった。

ERC100900の型だったが特に問題なかったようだな」

男は少女の身体を揺すっていた。

「あ……はい」

少女の視界はもう今まで通りの緑色の世界だったが、困惑して何も言えなかった。

「え?どうして助けたって? このままにしてたらお前、電子の海にきえちまうぞ」

「……わからない、そういう道理でしょ、この世界は。私ももう電子分解されても構わなかった」

「お前まだ、若いじゃないか。そんなガキん時から価値を持とうってのが間違ってんだ」

「でも世界はそういうものじゃないの」

「じゃあもう死ぬのか」

「……私の両親は死んでしまった、価値も持たなくなって電子クズになってしまった。

だけど、親は優しくされたら優しく仕返しなさいって。だから……あなたに優しくするまで

私は死ねない」

「……そうか。お前の身体が成熟したらまたそんときに分けてくれ」

男の腕だった部分は白い電子煙が立ちのぼり、電子の海に消えていった。

コメント

コタレ蔵 6年前
1000 EXC
Fantasfic!
vavavavava 6年前
3939 EXC
👍
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