sadojam 小説
プロローグ.2
自動運転の輸送列車のコンテナの中に約100人の囚人。 灰色の無味な服を着た囚人の首にはアルミ色の細い首輪。 手には各々の荷物が入った薄汚れた麻袋。 これからノーマンになる人間達。 ハーマーもその囚人の1人。 窓がなく、まるでフタのない箱の車内は蒸し暑く、気の短い一人がボヤいた。 [クソ暑いぜ!バカヤロウ。全くふざけッ痛ッ!?] 罵声の声にバチッ。と電気の流れる音が重なる。その瞬間、愚痴を言った囚人の全身が一瞬震え、痙攣し、もだえた…首輪から放たれる電気ショック。 それを見たハーマーはため息とともに自分にもついている首輪にそっと触れた。 この細い首輪は体温脈拍、音声振動のチェック。 そして麻酔や鎮静剤等の薬剤注射を注入できる隠れてある針。 合金チタンでできた囚人の個別管理用首輪。 脱走や規則違反。首輪を壊そうとした時。つまりは反抗的態度をとった時に処罰をする道具。電気ショック付き首輪。 世界統一後、後進国への援助や宇宙科学技術への莫大な予算の追加。 その代わり犯罪関係や福祉等への予算を大幅に削減。 経費を下げる為に、刑務所はコンピュータ管理での運営となった。 だが絶対に電気ショックでは死なない。もし電気ショックで死んでしまったら、その処罰を行なった囚人管理職員もノーマンになってしまうからだ。 人間は決して人間を殺害してはいけない。 人間はルールという見えない首輪をしている。つまりその首輪をしているうちはまだ人間でいる証拠なのだ。 首輪を外したノーマンは自由だ。殺人をしても決して罰する事はない。 ワシやライオンが動物を殺しても罰せられないように。
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