輸送列車が止まり、ドアが開く。が、誰もが座ったまま、黙ったまま。
勝手な行動をすると電気ショックが待っている。
たいがい誰もが一度は経験したからだ。
スピーカーから聞き取りやすい機械的な音声。
[静カニ順番ニ出ナサイ]
囚人達は静かに立ち上がり、ノロノロと外に出る。
目の前には圧倒する程の高い壁と錆びた鉄の扉。
鉄の扉が重い音を立てて開く。
中は15メートル程のトンネル。
向こう側は明るい。
扉の上部にあるスピーカーから、進め。と命令がくだり、皆、トンネルにぞろぞろと入る。
皆がトンネルの半ば程まで進んだ時に入り口の鉄格子が降りる。
それから首輪がカチャリと外れた。
誰かが喜声をあげた…それを契機に、皆は首輪を踏みつけたり壁に投げつける。
ハーマーは首輪を袋にしまった。
何かの役に立つかもと考えたからだ。
ハーマーは一度も電気ショックを浴びなかった唯一の囚人だった。