sadojam 小説
プロローグ.1
輸送列車が止まり、ドアが開く。が、誰もが座ったまま、黙ったまま。 勝手な行動をすると電気ショックが待っている。 たいがい誰もが一度は経験したからだ。 スピーカーから聞き取りやすい機械的な音声。 [静カニ順番ニ出ナサイ] 囚人達は静かに立ち上がり、ノロノロと外に出る。 目の前には圧倒する程の高い壁と錆びた鉄の扉。 鉄の扉が重い音を立てて開く。 中は15メートル程のトンネル。 向こう側は明るい。 扉の上部にあるスピーカーから、進め。と命令がくだり、皆、トンネルにぞろぞろと入る。 皆がトンネルの半ば程まで進んだ時に入り口の鉄格子が降りる。 それから首輪がカチャリと外れた。 誰かが喜声をあげた…それを契機に、皆は首輪を踏みつけたり壁に投げつける。 ハーマーは首輪を袋にしまった。 何かの役に立つかもと考えたからだ。 ハーマーは一度も電気ショックを浴びなかった唯一の囚人だった。
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