sadojam 小説
南極ユーリ保護地区.3
そこに生きているノーマンは10月現在で600人。 これから5ヶ月後には300人にまで減るだろう。 食料は600人に対し、サプリメント2000人分が定期的に送られてくる為、食料による同士争いは皆無だった。 サプリメントとは、無味無臭だが生存に必要な栄養素は保証されている、食料薬品のカプセル剤である。 ノーマン達の日常は、積雪による基地圧迫倒壊を防ぐ為の、屋根の除雪作業。 電力維持の為の太陽光発電機械や充電装置の点検や掃除。 そして、どこから来るか分からないアザラシやペリカンを捕まえ食料にする事。 9月から4月までは比較的平和である。 平和は人々に酷な希望を与える。 ここからの脱出は可能なのか? という無謀な希望を。 地獄なのは4月から8月までの極夜の3ヶ月間。 閉ざされた空間に閉じ込まれるので、気が狂い自殺してしまう者も多い。 ノーマンの敵は極寒の気温。 そして自分自身だった。
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