sadojam 小説
プロローグ.4
Jの命令で一列に並ばされた囚人達は10人ずつ小屋に入ってくよう命じられた。 もはや崖(ガケ)ともいえる堀の、すぐ横にある粗末な細長い小屋であった。 小屋から叫び声が聞こえた。 恐怖を感じた時に出る叫び声。 外にいる囚人達は動揺を隠せない。 ハーマーの番。 ハーマーを含めた10人が小屋に入る。小屋の堀側には壁がなかった。 10人とも瞬時に悟った。 恐怖の叫び声は堀に突き落とされた男達の悲鳴だった。 小屋の真ん中にJが座っていた。 Jはハーマー達をねばついた目で睨みつけ言った。 [脱げ。着けてるもの全てだ] ハーマーは急いで脱いだ。 一番最後に脱ぎ終わった男が屈強な男に突き落とされた。 生き残る基準が1つ分かった。 絶対にJという男の機嫌を損なわない事。 ネックレスをはずさなかった男も突き落とされた。 そして残った8人の個別面談が始まった。 ハーマーは聞き耳を立てる。視線は目だけ動かして周りを盗み見する。逃げ出せるかを思案する。 入り口と出口はそれぞれ屈強な男がふさいでいる。 逃げ出せる場所は1つしかなかった。 その場所は死の世界へ通じる堀にダイブする事だった。
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