sadojam 小説
南極ユーリ保護地区.9
南極では空気が綺麗なため、どんなに寒くても吐く息は白くならない。 息が白くなるのは空気中に細かなチリやホコリが、吐いた時に出た水分に付着し白く見えるからだ。 …部屋の中で吐く息が白い。空気が汚れてる証拠。 だが空気を入れ換える事は集団凍死自殺する事と同じだった。 鼻や耳がなくなっても、たいがいのノーマンは大丈夫。 だが、目…暗さはノーマン自体を壊すようになる。 何もせずにジッと寝てる毎日が続く。 それは風の音が本当に聴こえなくなるまで。 もしくは永遠の眠りにつくまで続く。 生き抜こうとするノーマンは夢の世界に逃げ込む。 そのまま夢の中に迷って帰って来ない者も多い。 毎日毎日墓標が増産されていく。 トイレと化した部屋に積まれていく。 死にたくてわざと何日も寝ないで、眠くて眠くてたまらない状態でトイレの部屋へ入る者もいる。 精神錯乱になった者もトイレに入れられ、入り口を塞がれる。 数年前に精神に異常をきたした者が、コケの火で寒さを防ごうと自分の身体に火を点け、火事騒ぎがあったからだ。
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