sadojam 小説
南極ユーリ保護地区.12
狂気と死の世界に、活気と生が蘇る。 ぴったりと寄り添っていた死神が離れた。 死神はいなくなった訳ではない。 ドクターとドミトリーが生き残ったノーマン…今回は315人…に注意と指示をしていく。 墓標となったノーマンは289体。 まだ外に出れなくともノーマン達の顔には笑みがあった。 太陽の光と紫外線で目を焼かないように、コケの灰を目のフチに塗る。 窓をふさいでた鉄板を外す。 ただそれだけでも歓声があがる。 雪を掘る順番も決まった。 手でかきわける。誰もが笑いながら。 淀んでた部屋の風が動いた。 外へのトンネルが開通した証拠だった。 わずかだが光が部屋へこぼれる。 笑いながら涙する者もいる。 目の下の灰が流れ落ちる。 [泣くな]というドクターの声を、涙は言う事を聞かず溢れ出る。 外は風はあるが太陽がサンサンと地上に光を降り注いでいた。 ノーマン達はゾロゾロと這い出て、新鮮な空気を思い切り肺に入れ、冷たい雪の中を転がった。
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