狂気と死の世界に、活気と生が蘇る。
ぴったりと寄り添っていた死神が離れた。
死神はいなくなった訳ではない。
ドクターとドミトリーが生き残ったノーマン…今回は315人…に注意と指示をしていく。
墓標となったノーマンは289体。
まだ外に出れなくともノーマン達の顔には笑みがあった。
太陽の光と紫外線で目を焼かないように、コケの灰を目のフチに塗る。
窓をふさいでた鉄板を外す。
ただそれだけでも歓声があがる。
雪を掘る順番も決まった。
手でかきわける。誰もが笑いながら。
淀んでた部屋の風が動いた。
外へのトンネルが開通した証拠だった。
わずかだが光が部屋へこぼれる。
笑いながら涙する者もいる。
目の下の灰が流れ落ちる。
[泣くな]というドクターの声を、涙は言う事を聞かず溢れ出る。
外は風はあるが太陽がサンサンと地上に光を降り注いでいた。
ノーマン達はゾロゾロと這い出て、新鮮な空気を思い切り肺に入れ、冷たい雪の中を転がった。