sadojam 小説
南極ユーリ保護地区.16
ついにドミトリーは決心した。 一人の新ノーマンが女や酒やギャンブルを…人間世界の話を名残惜しそうにクドクドと話を続けたからだ。 キッカケはそんな些細な事だった。 だがドミトリーはなんでもいいから動くキッカケが欲しかった。 これ以上やる気が消えてくのが嫌だった。 ドクターに声をかける。 [脱出しないか?] ドクターは生徒に話しかけるように言った。 [空を飛んでか?…温暖化のせいで365度どこもクラック(割れ目)で行き止まりじゃないか] ドミトリーは考えてた方法を言った。 [北の方にボストーク基地があるはずなんだ。こっから300キロの距離なんだが、30キロを10時間で歩けるんだから行けない距離でもない。クラックについてもアイデアがあるんだ] ドクターはドミトリーと向き合うように姿勢を変えた。アゴをあげた…話の続きを催促した。 [クラックは短い場所もあるはずだ。そこに橋を作る。ボストーク基地は地球最低気温を記録した場所だから、進めば進む程寒くはなるから、クラックは少ないはずなんだ] ドミトリーはいったん口を閉じた。 ドクターは表情1つ変えない。 ドミトリーは続きをまた話し出す。
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