ついにドミトリーは決心した。
一人の新ノーマンが女や酒やギャンブルを…人間世界の話を名残惜しそうにクドクドと話を続けたからだ。
キッカケはそんな些細な事だった。
だがドミトリーはなんでもいいから動くキッカケが欲しかった。
これ以上やる気が消えてくのが嫌だった。
ドクターに声をかける。
[脱出しないか?]
ドクターは生徒に話しかけるように言った。
[空を飛んでか?…温暖化のせいで365度どこもクラック(割れ目)で行き止まりじゃないか]
ドミトリーは考えてた方法を言った。
[北の方にボストーク基地があるはずなんだ。こっから300キロの距離なんだが、30キロを10時間で歩けるんだから行けない距離でもない。クラックについてもアイデアがあるんだ]
ドクターはドミトリーと向き合うように姿勢を変えた。アゴをあげた…話の続きを催促した。
[クラックは短い場所もあるはずだ。そこに橋を作る。ボストーク基地は地球最低気温を記録した場所だから、進めば進む程寒くはなるから、クラックは少ないはずなんだ]
ドミトリーはいったん口を閉じた。
ドクターは表情1つ変えない。
ドミトリーは続きをまた話し出す。