sadojam 小説
プロローグ.5
ハーマーの面接は5番目だった。 既に2人は反対側の出口から小屋から出て行き、3人は有無を言わさず崖に突き落とされた。 ハーマーの番。 Jの質問、人間の時は何をしていた? ハーマーの答え。証券会社を経営していた。 Jが鼻で笑った。嫌な予感…ハーマーの額から冷や汗が流れる。 ハーマーが慌てて付け加える。 ボーイスカウトの教官をしていた。自然には詳しいからきっと役に立てるはずだと。 Jの鋭い目が吊り上がる。予感は確信へと変わる。 目に入る汗を拭いながら畳みかけるようにハーマーは喋った。 Jの最終回答を言わせない為に。 [ミスターJの為なら何でもする。本当だ。嘘じゃない。人殺しも本当はするはずじゃなかったんだ。俺ははめられそうになり、仕方なく殺したんだ] Jの口が開きかける。言わせない。聞きたくない。 [そ、そうだ。首輪を壊さずにとってある。この中に鎮静剤や麻酔薬が入ってるはずだ。他にも役に立つのを持ってきている] Jが言った。[…だから?] ハーマーの足はガクガクと震え今にも座りこんでしまいそうだ。 [だから…俺を殺さないでくれ。約束する。何でも言う事を聞く。何でもだ!] ハーマーは力を込めて叫んだ。
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