sadojam 小説
世界統一.1
2012年10月23日。 その日が新しい世界への始まりの日ともいえた。 23日明朝、突如、アメリカのケンブリッジ天文台や、その真反対にある中国の紫金山天文台。ロシア、日本、イギリス、あらゆる天文台や宇宙研究所で一斉に宇宙から謎のパルス(電波・信号)を受信した。 各地の天文台の場所と、受信した時間をナノ秒(10億分の1秒)単位で計算。その計算でパルスは、木星と金星の間にある空間から発信された事が分かった。 そのパルスは、15.012秒の定期的な信号で、ミュー粒子とタウ粒子との規則的に発し続けた。 宇宙化学研究所はそのパルスを[X-パルス]と名付けた。 当時の各国が独自の方法、ロケットや探索機で調査・研究で分かった事は、約10キロ範囲の何もない空間から、公転し動き続けている地球に向けて発信されている…という事だけであった。 つまり、明らかに地球に向けての何らかのメッセージを発信しているという事である。 その頃、イルカやクジラの群れが集団でストランディング行為を各地で発見されるようになった。 ストランディングとは海岸に暗礁する…乗り上げるという行動で、ネズミが集団自殺するレミング行動と同じ意味に使われている。 そのストランディング行為の際にイルカやクジラが発したパルス(信号)が[X-パルス]とほぼ同じパルスであった。 海洋生物学の研究によると[危険][警告][避難]とかの意味である事が判明した。 だが、誰が?何の為に?何が危険なのか?の問いは全く解らなかった。 キリスト教やイスラム教、仏教、あらゆる宗教のそれぞれが我が神からのメッセージだと主張し、新しい宗教も爆発的に増えた。
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